近年の国内本格ミステリが現実概念の変容にどのように応答したか論じる。
 第一章で、現実とはさまざまな人々の意思や感情が生みだした形や仕組みによって構成されたものとみなす「構成された現実」について説明する。
 構成された現実を扱った具体的事例として相沢沙呼『medium』を第二章で、北山猛邦『月灯館殺人事件』を第三章にて紹介する。
 第四章では構成された現実を描いていると感じた作品をいくつか挙げ、このような作品が生じた背景について考察する。