僕の部屋は森に

 朝、目が覚めると、僕の部屋は森になっていた。
 寝ぼけ眼でリモコンを手にし、テレビを点けた。
 アマゾンに突如出現したという日本家屋が映った。

 朝、目が覚めると、僕の部屋は森になっていた。
 空っぽの水筒を投げ捨て、湖に飛び込んだ。
 なにせもう、一週間も僕の部屋は砂漠だったのだ。

 朝、目が覚めると、僕の部屋は森になっていた。
 窓から見下ろすと、外は海だった。
 顔を上げると、空一面に僕の部屋があった。

 朝、目が覚めると、僕の部屋は森になっていた。
 知らなかったよ、君にそんな一面があったなんて。
 そう告げると部屋は恥ずかしげにうつむいた。

 朝、目が覚めると、僕の部屋は森になっていた。
 月日が流れた。黒い肌の妻を迎え、子供もできた。
 ある朝、子供が消えた。悲しむ妻に、大丈夫だよとささやいた。