ここ、ろの、ありかを、どこか、遠いところに求めてイライラしてる。強い陽射しがこの街の光景を色褪せた写真のように照らしてリアルが滑り落ちる。ね、むい、ねむい、ねねむむい。ボクは商店街を転げ落ちる。炸裂する花束が舞い散る石畳、カラフルに回転する扇子と砕け散る色硝子、なにもかも遠ざかってく。
(ねえ、どこに行けばいい? ねえ、どこに行けばいい?)
ほら、真夏だよ。雨の中頭を寄せ合う紫陽花が南西の空を指差している。耐えて耐えて湿度に耐えて汗を流して右足と左足はむくわれることなく水たまりを踏みつける。さ、なら、さなら、さようなら。グルグル影が頭の中で回りつづける。
(君と君とボクとボクと影と陽射しと甘夏蜜柑)
パッと光って弾けて飛んで、流れ星の世界にフェードアウト。