早引表

※長沢樹『夏服パースペクティヴ』(角川書店、平成二十四年十月三十一日初版)に基づき作成した。

No. あらすじ 伏線/備考
1 序章 0 被害者A 某月某日 6 豊崎巧太に監禁されている私(坂下亜里砂、現在の真壁梓)。
新入りの二人(小清水佳織と広瀬真文、現在の名塚佐織と大迫真綾)が来る。二人分、定員オーバーのため酸素が持たないだろうと言い残し、でていく豊崎。クロスボウとノコギリが残された。
マシロ(真城)は動かない。私の妹、美砂は肺が弱く、楽にしてあげたい。私の記憶はここで途切れる。
救出後の顛末。美砂とマシロはクロスボウを刺され死亡。誰がそれをしたのか私は記憶が無い。
私は左足首から下を失っていた。残りの二人(新入りの二人)も記憶を記憶を失ったという。
p.325から、三人の実名と今の名前が明かされる。
2 第一章 1 遊佐渉 七月十三日 月曜日 4:01PM 13 音楽室の前で、音楽教師の安曇京と会話する。樋口真由を説教していたのだろう。音楽室で、樋口のうなじをつまむ。「君のことが好きだ」音楽室をでていく樋口。
交差点で樋口に追いつく。映像作品の撮影に参加してほしい、監督との面接が明日あると説明。
動画サイト『ムーヴチューン』で樋口の才能を見出した経緯。音楽ユニットHAL Projectのビデオクリップを、葦原女学院高校の映像文化研究部が制作する。そのメイキング・ドキュメントを真壁梓監督が企画している。依頼を断り、樋口は立ち去る。
帰宅。HALのクリップを鑑賞する。御津矢秋帆が来る。遊佐家の家庭事情。招待状を渡される。葦原女学院映研の人間関係。
一足先に泉沢スタジオをロケハンした秋帆は、心霊動画めいたものを撮影したという。グラウンドに黒い影が映っており、数秒で消えた。永井美鈴の評判について。怪談がないかネット検索をする。
 
3 第二章 0 被害者A 六月某日 45 プリントアウトの束を差しだされる。“全裸探偵・四條一紗『時計台のファムファタール』雁谷ノエル”の原稿。
クロスボウを使おうと提案する相手。密室トリックがふたつある、実現可能な建物を紹介できるという。
原稿を渡された被害者A=真壁梓。相手は雁谷ノエル=永井美鈴(p.356で美鈴が認める)。
4 1 大迫真綾 七月十四日 火曜日 3:52PM 51 母の彼氏にレイプされかけた過去。永井美鈴から一斉メールが来た。「今日は一段と綺麗ですね」特別講習会の会場で、美鈴と会話。
真壁梓が講義を始める。滝野武史監督『HANA-BILA』の一場面について真綾、美鈴がコメントを求められる。
トイレへ。陰口を耳にする。副部長の桐野真琴に謝られる。
母との関係、葦原女学院高校へ入学するまでの経緯を回想する。
控室で真壁からオーディションを受ける。佐伯圭史との関係。『みしゃこ』について会話。今回は爽やかなやつを創りたい。
薄っぺらい人間だと挑発される。すでにドキュメント撮影は始まっていた。
 
5 2 遊佐渉 七月十四日 5:17PM 71 葦原女学院高校へ。永井美鈴と会話していると、佐伯圭史がやってくる。
十分後、真壁梓と対面。大学在学中の作品『あたしのなか』やセミドキュメントについて。『HANA-BILA』の一場面について感想を求められる。クレーンカメラでの撮影を頼まれる。
遊佐渉を案内した女性事務員(p.72)が大迫真綾。
6 3 遊佐渉 七月十四日 6:02PM 85 葦原女学院高校をでる。市立図書館で旧泉沢南中学について文献を調べる。
樋口真由からケータイで、泊めてほしいと頼まれる。帰宅、樋口が来る。渉の父の職業、HALの撮影について会話。樋口にも参加してほしいと再説得。
すり下ろしニンニクを頭からかぶった樋口が風呂へ。秋帆がやってくる。水音に気づき風呂へ。
友人同士になった樋口と秋帆。心霊動画を検証する。トリックに過ぎないと証明してほしいと秋帆が樋口に頼む。秋帆から、樋口にはリストカットの傷痕があったとメールが来る。
 
7 第三章 1 遊佐渉 七月二十二日 水曜日 103 関内駅に近いカフェで、全体スタッフミーティング。なぜこの場も撮影するのかと質問する永井美鈴を、真壁監督が挑発する。
対立はフェイクに過ぎないが、リアルとリンクしていると説明される。撮影内容について。
 
8 2 大迫真綾 七月二十三日 木曜日 110 ドラマのロケ現場へ。名塚佐織に話しかけられる。真壁梓にハンディカムを向けられ、名塚がたしなめる。名塚と役作りをする。
撮影。真壁と二十四時間営業のカフェへ。名塚が映画出演を依頼される。女優としての差を指摘される。
寮へ帰る。ユニットバスでカッターの刃を手首にあてがうところを撮影する。震度五の地震が起きる。キャストとして参加するよう真壁からメールが来る。
 
9 3 遊佐渉 同日 同時刻 122 秋帆に調査の経過報告をする。泉沢地区廃校跡について、社会学部の学生によるリポート。
女性の泣き声じみた音は、石灯籠を風が吹き抜ける音だった。弱音を吐く秋帆をなだめる。
 
10 第四章 0 大迫真綾 八月三日 月曜日 131 真壁梓に撮影スタジオを案内される。私の役目は仕掛け人。この場所は永井美鈴の紹介だという。
今日か明日、合図があったときに決められたことをすればいいだけだと云われる。
 
11 1 遊佐渉 八月三日 月曜日 5:37AM 132 御津矢邸の前で秋帆と待ち合わせ。三保駅に到着、樋口と合流。迎えの車が来る。エルグランドを運転している名塚佐織とおたがいに紹介しあう。セミドキュメントの特徴を秋帆が樋口に説明する。
泉沢スタジオに到着する。真壁と樋口が初顔合わせ。HALのふたり、佐伯圭史と会話。名塚佐織の代わりに出演しないかと佐伯が樋口に提案する。
会議室に全員が集合する。サンドイッチで朝食。部屋割りで、渉は樋口と同室になる。佐伯が、樋口の出演を提案するが、美鈴に却下される。
最初の撮影に向けて準備。樋口にHALの二人を追うよう頼む。クレーンカメラを組み立てて運ぼうとしたところで、名塚に声をかけられ、街田彩菜の手伝いをすることに。扇風機を運ぶ。
校門にHALの二人と樋口がいる。丘崎晴花が、自転車の場面を追加することを思いついたという。クレーンを校庭へ運ぶ。リハーサル、本番の撮影。
真壁梓に「実景拾ってきます」と断って“人影”があった箇所へ向かう。理科室の扉にフェイクの錆が塗られている。撮影再開。
家庭科教室へ。桐野真琴が昼食を作っている。「秋帆のこと嫌い?」理科室で佐伯圭史をみつける。真壁から、夕方のシーンで名塚とキスするよう言われたという。
体育館、石段、記念碑を撮影する。秋帆からケータイで、名塚が殺されたと知らされる。
名塚がエルグランドから工具箱を取りだす。「まず配線をね……」(p.153)この工具箱のペンチがワイヤを抜くのに使われた。
p.167 桐野のカメラPM300にはループ再生機能があることが触れられている。
p.174 石灯籠から女性(恐らく大迫真綾)の声が聞こえた気がした。
12 第五章 0 桐野真琴 八月三日 月曜日 175 永井美鈴は十一歳のとき、家政婦から性的虐待を受けたと訴えた。家政婦は無実を訴えていたが、後に自殺した。家政婦は桐野の母親。
 
13 1 遊佐渉 八月三日 月曜日 11:46AM 176 死体役として倒れている名塚佐織。真壁梓の指示で、名塚が矢の角度を直す。秋帆の提案で、渉が探偵をすることに。エプロン姿の桐野が声をかける。
いったんカメラを止め、セミドキュメントを休止する。探偵の息子だから渉は選ばれたのか秋帆に確かめる。再びカメラを回す。
名塚を生徒玄関へ運ぶ。再び休憩。真壁梓が名塚に特殊メイクを施す。なにを解き明かすべきか真壁に確認する。
事件発生の状況を確認する。真壁が撮影した、名塚が射られた(という演技をした)映像を確認する。矢を発射した4号教室を検証する。
唯一アリバイの無い佐伯が犯人か。教室には入らず、廊下から天井近くの小窓を通して撃ったのであれば、密室も説明できる。資料室へ行くと、クロスボウがひとつ欠けていた。
防犯カメラをみつけたと樋口からケータイで知らされる。4号教室の廊下を通った者はいなかった。「犯人と殺害方法がわかった」樋口が言う。
p.186「ここに傍観者はいない」
後にp.219で渉が考察するが、これはリアルと“夏フリ”世界の境界を探るための質問だった。
14 2 遊佐渉 八月三日 月曜日 1:25PM 209 樋口を好きになった理由を考える。樋口が名塚佐織に声をかけるが、起きない。
名倉が“夏フリ”世界で“本物の死体”となったのは真壁梓が特殊メイクを施したときだったと説明する。
昼食。街田彩菜の手伝いで、壁の破損を隠すためプランターを並べる。プールで佐伯圭史とセッティング。樋口がどうやって謎を解いたか考える。
桐野真琴が来て、HALの事情によりプールの撮影は延期になったと知らされる。会議室でスケジュールの変更点を確認する。音楽室、体育館で撮影。
 
15 第六章 0 大迫真綾 八月三日 月曜日 6:XXPM 226 デジャビュがするが思いだそうとすると頭痛がする。クロスボウの準備は整っている。
 
16 1 遊佐渉 八月三日 5:58PM 227 台風が接近しているため、今日のうちに校庭の西日ゾーンで撮影することに。リハーサル。十分間の休憩をとることに。佐伯が、なぜプールの撮影が延期になったか考えた理由を述べる。風を切るような音がし、名塚佐織が首を押さえて倒れる。
樋口が理科室に入ろうとするが鍵がかかっている。佐伯が真壁から借りていた鍵で中に入る。カメラと指向性マイクが校庭を向いている。真壁と樋口の対立。
美鈴が秋帆に「本番まで、一緒にいて欲しい……」(p.232)と声をかけるのは、矢が飛んでくると知っていたから。
17 2 遊佐渉 八月三日 8:46PM 244 理科室で犯行時の映像を検証する。“●一号等管理室前防犯カメラの検証”(p.245)真壁梓が理科室に入り、鍵をかけて立ち去る。
桐野真琴から、明日も予定通り撮影を続けられよう指示を出してほしいと秋帆が頼まれる。「ギャランドゥ」処理用の道具を買いに行くHALの二人。名塚佐織が寝込んでいるため、街田彩菜に車を頼むことに。
“●真壁梓カメラの検証”(p.250)飛んできた矢がレフ板に突き立つ瞬間が映っていた。
幽霊がいた場所が名塚の倒れた場所と同じことから、クロスボウの発射実験をしたと樋口が推理する。理科室から撃ったとしか思えないが、発射装置やクロスボウをどうやって消したのか。
街田に、秘密の抜け穴がないか質問する。幽霊が立体的に見えた理由を説明するため、街田が映画『ブレードランナー』の冒頭を見せる。理科室は天井から撮影するためのスペースがあるが、いまは二階にある入り口が書架で塞がれている。
 
18 3 遊佐渉 八月三日 10:59PM 268 シャワー室をでる。HALの二人と会話。雁谷ノエルの小説のことを教えられる。会議室へ。桐野、美鈴と会話。
探偵小説研究会のホームページを確認する。樋口に、雁谷ノエル=永井美鈴の可能性が高いと説明する。美鈴は秋帆を呼び止めていたことから、矢が飛んでくると知っていたはず。泉沢スタジオも三年前に両親の仕事(写真集の撮影)で訪れていた。
金縛り。「部長はちゃんとした女の子を好きになればいい」
“あ、首が……”(p.271)ガーベラの首が斬られている(=開いた非常口で遮られている)ことに気づいた美鈴が口走った(p.437)。
19 第七章 0 大迫真綾 八月四日 火曜日 280 豊崎巧太に監禁されたときの記憶の断片が戻ってくる。「あの、大丈夫ですか?」
 
20 1 遊佐渉 八月四日 火曜日 6:01AM 282 秋帆からケータイで、助けてほしいと頼まれる。校門からの下り坂、急カーブの崖下にいた秋帆を救出する。
自転車からブレーキワイヤが抜かれていた。樋口が真壁梓を詰問するが、真壁は否定する。ギアのワイヤも抜かれていた。
家庭科教室で、計画外のアクシデントだと真壁が説明する。名塚佐織は出演させてもよいが、密室の謎を解かなければ企画自体ボツだと云われる。
 
21 2 遊佐渉 八月四日 9:16AM 296 プールでの撮影。街田彩菜にヘアメイクされたHALの二人。風が強く、レフ板を押さえるためロープの類を探すことに。
秋帆と一緒に備品倉庫へ。ワイヤの採取に使ったのではと工具箱を確認する。名塚佐織がエルグランドに積んでいた工具箱があった。雨が降ってきたため撤収。
 
22 3 遊佐渉 八月四日 0:11PM 307 昼食。樋口が映像から、壁の破損部を隠していたプランターの位置が変わっていると指摘する。
破損部から縁の下へ入るが、理科室の床板は固定されていた。フェイクの錆の模様も変わっている。
街田彩菜がホームセンターで買ってきたものを見せつける。プランターは街田のアイデアだという。錆も今朝の撮影前に塗り直した。
会議室へ戻る。真壁の経歴がわからないと説明する樋口。拉致監禁事件の被害者ではないか。アンフェアにはアンフェアで返す。樋口真由を敵に回してはいけない。
 
23 第八章 0 遊佐龍太 八月四日 火曜日 4:28PM 323 喫茶室セザンヌで、井草六太郎警部補と会話する。違法ガールズバーの内偵を請け負う代わりに、豊崎巧太の監禁事件について情報提供を依頼する。
生き残った三人のうち、坂下亜里砂は現在の真壁梓、小清水佳織は現在の名塚佐織として『夏服とフリッカー』の撮影に関係している。だが、残る一人の広瀬真文(大迫真綾)の現在の居場所がわからないので探してほしい。
 
24 1 遊佐渉 八月四日 5:02PM 328 撮影中止を決断するシークエンスを撮ろうと会議室を出る。生徒玄関に秋帆とHALの二人がいた。地鳴りがして、崖が崩落。
会議室に全員が集まり、孤立状態となったことが街田から説明される。多目的教室で、親父(遊佐龍太)から豊崎巧太の事件と生き残りについて知らされる。監禁事件の記憶を蘇らせることが真壁梓の狙いではないかと樋口が推理する。
家庭科教室で、さりげなく名塚佐織から過去を尋ねる。監禁事件のことを記憶していない。
会議室に戻る。自転車の一件だけ関連性がわからない。ワイヤを締めていたボルトについた傷から、エルグランドに積まれていた工具箱のペンチが使われたとわかる。
校舎の明かりがすべて消える。ホラー&オカルト嫌いな秋帆の笑みが引き攣る。街田が発電機を玄関ホールへ運びだす。
外の様子を撮影するため樋口とプールのほうへ。真壁が急に弱気になったことを樋口がいぶかる。渡り廊下に桐野真琴と永井美鈴がいた。美鈴が泣いていたことから、二人の関係性を考える樋口。佐伯圭史から、危ないので近づかないよう注意される。石灯籠が半壊している。
 
25 2 遊佐渉 八月四日 8:23PM 351 家庭科教室へ戻る。真壁梓がいなくなった、秋帆たちが校内を探していると説明する街田。
なぜ泣いているのか美鈴に問うが、桐野から非難される。密室のアイデアは真壁梓が考えたと答える美鈴。雁谷ノエルが自分であることも認める。
真壁梓を探すため生徒玄関へ。真壁と美鈴との役割分担を推理する樋口。街田のケータイに秋帆から着信。永井美鈴が死体でみつかったという。
渡り廊下へ。顔面を矢で射貫かれ、本当に死んでいる美鈴。街田が警察に連絡、渉は親父に連絡。発見のときの状況を訊く。佐伯圭史と二号棟の裏を確認するが、足跡はみつからない。
資料室を確認するがクロスボウは減っていない。名塚佐織に真壁梓と知り合った時期を尋ね、記憶を取り戻していないと確信する。
秋帆から、桐野と美鈴の関係を尋ねる。秋帆とシャワー室へ。隣の女子シャワー室から、桐野真琴が泣いていると思しき声がする。「ねえ、マユちゃんのこと本気で好き?」
体育館の軋む音がして、様子を見に行くことに。永井美鈴の首が切断されていた。外部犯の可能性を排除したいと主張する樋口。「急がないと、今晩中にもう一人死ぬ可能性があるから」
 
26 3 遊佐渉 八月四日 11:25PM 380 渉、樋口、秋帆の三人で外へ。校庭などに足跡がないことを確認する。“これはわたしの義務。わたしが決着をつけるの!”青葉地区へ続く山道が、街田の説明通り通れない(孤立している)ことを確認する。体育館を調べ、首を切断された真壁梓の死体を発見する。
家庭科教室で、死体発見を報せる。ワイヤの件を調べるため、エルグランドに乗せた人物や工具箱について名塚佐織に確認する。
親父から、広瀬真文(大迫真綾)の所在が不明なこと、渉には妹がいることを告げられる。旧泉沢南中学校の歴史資料から樋口がなにかに気づく。
隠しカメラの配線を手伝い、工具箱の存在を知っていた桐野真琴がワイヤを抜いた犯人だと説明する。主犯(大迫真綾)と桐野真琴の関係がわかったという樋口。
「花……」(p.389)
27 第九章 0 広瀬真文=大迫真綾 八月五日 水曜日 1:55AM 397 あとどのくらい生きていられるだろう。佳織ちゃん(名塚佐織)の未来を救えた。彼女(桐野真琴)の望みも叶えた。
「あなたはずっとそこにいたんですね」
 
28 1 遊佐渉 八月五日 水曜日 1:02AM 398 家庭科教室で、桐野真琴を自殺させないよう樋口が頼む。桐野はシャワー室で、泣き声をループ再生してアリバイを作り、窓から外に出て美鈴の首を切断したと説明する。
理科室からレーザー照準器で、矢の発射ポイントを探す。広場の下に地下室があるという推理を説明する樋口。「この事件……真壁さんが構築したパースペクティヴの消失点が、ここなの」
石灯籠に頭が入るか確認する。「あなたはずっとそこにいたんですね」樋口が呼びかける。
桐野のカメラPM300を石灯籠から下ろす。大迫真綾を目にし、会場まで案内してくれた事務員の女性だと思いだす。
意識を失わせないよう、声をかけ続けなければならないと主張する樋口。「それがわたしの義務だと思うから」
 
29 2 遊佐渉 八月五日 2:36AM 414 穴に向かって語り続ける樋口。真壁と美鈴の生首を水中から持ち上げる。奇妙な形での交換殺人だと理解する。
地下室の存在が歴史資料から推察できたことについての説明。
ゲームのつもりが人を生き埋めにしてしまい、大迫真綾の扱いについて意見が衝突し、美鈴は真壁を殴り殺したのではないか。
 
30 3 広瀬真文=大迫真綾 八月五日 3:19AM 421 豊崎巧太の事件でなにが起きたのか回想する。
真壁と美鈴との言い争いを耳にしたこと、名塚佐織の未来を救おうと考えたこと、桐野との取引。
 
31 4 遊佐渉 八月五日 4:07AM 427 大迫真綾の顔が水没する。石段が崩れ、土砂に覆われる。
家庭科教室で謎解き。非常口が閉まっているように見えたトリックと、それに樋口が気づいた理由。桐野が地下室の存在を知り、ワイヤを抜いた経緯。
美鈴をなぜ殺したのか。遠くからヘリの音が近づいてくる。
 
32 終章 0 “少女A”と“少女B” 九月四日 金曜日 448 違法ガールズバーへの潜入捜査をする樋口と渉。永井美鈴の首がみつかったことがテレビで報道される。  

図版

p.142	泉沢スタジオ=旧泉沢南中学校跡見取図
p.143	泉沢スタジオ2F
p.237	犯行時位置関係図