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山田風太郎『妖異金瓶梅 山田風太郎ベストコレクション』(角川文庫、平成二十四年六月二十五日 初版)に基づき作成した。

各話の主要人物一覧

☠は潘金蓮が殺害した人物、♞はダミー犯あるいは操られ犯、✜は怪我を負わせるなどした人物、☛は共犯。
赤い靴 【犯人】 潘金蓮
【動機】 “ほ、ほ、でも、あたしの足はどうかすると金蓮さまの
お靴でもゆるいくらいですのに” (p.15)
10 宋恵蓮(そうけいれん) 西門慶の第七夫人。足を切断される。
10 孫雪娥(そんせつが) 西門慶の第四夫人。夢中遊行の癖がある。料理上手。
10 鳳素秋(ほうそしゅう) 西門慶の第八夫人。足を切断され、持ち去られる。
14 来旺(らいおう) 西門家の門番。靴と足を好む。鳳素秋(宋恵蓮)の足を持って逐電。
美女と美童 【犯人】 潘金蓮
【動機】 “あの琴童のなめらかで弾力のある肉のしまり具合をみろ。あの
画童のぴかぴかひかるようなまるみと、白桃のような腰えくぼをみろ” (p.52)
45 西門慶(せいもんけい) 西門家の主人。画童を殺し(たと思い)琴童に鴆毒をのませる。
46 ☠♞ 画童(がどう) 西門慶の寵童、十七歳。宦者にされる。
46 琴童(きんどう) 西門慶の寵童、十八歳。肛門に蝋燭をさされる。
閻魔天女 【犯人】 潘金蓮
【動機】 “いちばん色っぽいのは、どなたのお声だね?”
”そりゃ、なんといっても朱香蘭だ” (p.93)
91 朱香蘭(しゅこうらん) (宋恵蓮亡き後の)西門慶の第七夫人。舌を噛みきられる。
86 ♞✜ 陳敬済(ちんけいさい) 西門大姐の婿。潘金蓮に鼻をぶたれ鼻血。
西門家の謝肉祭 【犯人】 潘金蓮
【動機】 “話が面白ければ、気心も合う。そこから追い追い色話に
移ってもおそくはないというもので――はははははは” (p.133)
10 龐春梅(ほうしゅんばい) 潘金蓮の小間使い。料理人が倒れたことを告げに来る。
125 林黛玉(りんたいぎょく) 知県閣下夫人。片づけられる。
141 唐牛児(とうぎゅうじ) 西門家の料理人。急に腹痛で倒れる。
変化牡丹 【犯人】 潘金蓮
【動機】 “とにかく、まず、あの方をかかせてもらいましょうかな” (p.155)
10 龐春梅(ほうしゅんばい) 潘金蓮の小間使い。楊艶芳を監禁、見張るなどした。
10 李嬌児(りきょうじ) 西門慶の第二夫人。耳環を楊艶芳に貸そうとして壊す。毒酒を渡した一人。
10 孫雪娥(そんせつが) 西門慶の第四夫人。毒酒を渡した一人。
150 蘇竜眠(そりゅうみん) 画家。毒酒を渡した一人。
150 楊艶芳(ようえんほう) 西門慶の第七夫人。蜂に刺され、毒殺。
152   雪獅子(ゆきじし) 潘金蓮の愛猫。蜂に刺された楊艶芳(潘金蓮)にくっついてあるく。
銭鬼 【犯人】 潘金蓮、韓道国
【動機】 “し、白絹、三匹!” (p.202)
“干棗みたいな韓道国さえ食うお前だから、李だってくえるだろう?” (p.208)
183 揺琴(ようきん) 韓道国の女房。茹で卵をおしこまれる。
183 ♞☠ 韓道国(かんどうこく) 西門慶が営む生薬舗の手代。鴆毒で死亡。
185 (☠) 宋鉄棍(そうてっこん) 韓道国の元主人。韓道国によって竈の灰に。
152 雪獅子(ゆきじし) 潘金蓮の愛猫。茹で卵を食べるが平気。韓道国の吐血を舐めとる。
麝香姫 【犯人】 潘金蓮
【動機】 “金蓮はいかにも麝香の体臭をもっているようだが弱い、弱い。
まず麝香鼠くらいなものだ。そこへゆくと、あの女はすばらしい” (p.243)
7 応伯爵(おうはくしゃく) 西門慶の悪友。下半身担当。
10   李瓶児(りへいじ) 西門慶の第六夫人。西門慶の子を身ごもるが重病となり、棺を用意される。
8 李桂姐(りけいそ) 花街随一の名妓。月のもの前後の数日だけ麝香の匂い。
138 武松(ぶしょう) 武大の弟。徽宗皇帝が東宮をたてた恩赦で町にかえった後、梁山泊へ。
漆絵の美女 【犯人】 潘金蓮
【動機】 “生きている李夫人は、あなたの恋敵のうちにも入らなかった。
しかし、あの漆絵となった李夫人は恐るべし” (p.270)
45 西門慶(せいもんけい) 西門家の主人。春燕に復讐されると思い、頸をおさえつける。
10 ☠? 李瓶児(りへいじ) 西門慶の第六夫人。経血がとまらない病で死亡。
265 ☠? 官哥(かんが) 西門慶と李瓶児の子。雪獅子にひきつけを起こし死亡。
269 春燕(しゅんえん) 琴童の妹。潘金蓮の小間使い。漆に弱い。美少女の下腹部に石榴。
妖瞳記 【犯人】 潘金蓮
【動機】 “あまり美しい眼でみられると、鏡がやきもちをやいてわれるそうだ。
だから、麗華はあきらめろ” (p.299)
10 龐春梅(ほうしゅんばい) 潘金蓮の小間使い。劉麗華を慕い、潘金蓮の隣室の鍵を貸す。
292 劉麗華(りゅうれいか) (李瓶児亡き後の)西門慶の第六夫人。眼を刺される。
294 葉頭陀(ようとうだ) 劉麗華の前夫。西門慶に敗訴させられ、行方知らずになっていた。
邪淫の烙印 【犯人】 潘金蓮
【動機】 “こうして眼をとじていても、ゾオラ姫がまえにあると、
雪の精が立ったようにまぶたがあかるくなる” (p.318)
317 ゾオラ姫 大食(タージ)の国の姫君。背なかを十字の烙印でやかれる。
319 憑金宝(ひょうきんぽう) (楊艶芳亡き後の)西門慶の第七夫人。月のものがはじまると、ものを盗む。
320 アル・ムタッツ/達沙(たっしゃ) 異郷の僧。もとゾオラ姫の家来。憑金宝にも十字の烙印をやく。
黒い乳房 【犯人】 潘金蓮
【動機】 “色道は、触覚だ” (p.365)
10 龐春梅(ほうしゅんばい) 潘金蓮の小間使い。劉麗華に同情し、手をひいてやる。
292 劉麗華(りゅうれいか) (李瓶児亡き後の)西門慶の第六夫人。盲目。
361 葛翠屛(かっすいへい) 新しく西門家の後園に迎えられた。熱湯を浴びせられる。
凍る歓喜仏 【犯人】 潘金蓮
【動機】 “でも……憑金宝さん、かえって倖せだったかもしれないわね。
……あんなにピッタリ抱き合ったまま死ぬなんて……” (p.416)
246 武大(ぶだい) 餅売り。潘金蓮の元夫。潘金蓮に鴆毒をのまされる。
7 ☛☠ 西門慶(せいもんけい) 県下随一の豪商。潘金蓮に鴆毒をわたす。雪澗洞にて凍え死ぬ。
396 雪洞禅師(せつどうぜんし) 苦行僧。泰岳東峰の雪澗洞で座禅をくむ。
402 浪子燕青(ろうしえんせい) 梁山泊の俠党。西門慶の邸に侵入を繰り返す。
女人大魔王 【犯人】 潘金蓮
【動機】 “あの墓は、立派ですわ。
けれど、偽りに満ちた墓ですわ、応さん” (p.461)
138 武松(ぶしょう) 武大の弟。西門慶を殺頭の刑に処す紙きれを遺す。
361 香楚雲(こうそうん) 西門慶の夫人。番頭の劉包と密通。
442 劉包(りゅうほう) 西門家の番頭。香楚雲と姦夫姦婦として罰せられる。
9 呉月娘(ごげつじょう) 西門慶の正夫人。殉葬を提案される。
10 孫雪娥(そんせつが) 西門慶の第四夫人。殉葬に応じる。
292 劉麗華(りゅうれいか) (李瓶児亡き後の)西門慶の第六夫人。殉葬に応じる。
蓮華往生 【犯人】 潘金蓮
【動機】 “あたしは……やっと生甲斐をみつけたわ” (p.478)
138 武松(ぶしょう) 武大の弟。古井戸に落とされる。
10 龐春梅(ほうしゅんばい) 潘金蓮の小間使い。武松に脅され、西門家へ忍びこむ手引きをする。
死せる潘金蓮 【犯人】 潘金蓮?
【動機】 “あたしにとって金蓮さまのいらっしゃらない
この世は、沙漠とおなじなのです” (p.516)
10 龐春梅(ほうしゅんばい) 潘金蓮の小間使い。周守備の良き妻となる。
9   呉月娘(ごげつじょう) 西門慶の正夫人。
10   李嬌児(りきょうじ) 西門慶の第二夫人。西門慶の死後は、張二官のもとへ。
470   張二官(ちょうじかん) 町の金持。西門慶の死後の、李嬌児の嫁ぎ先。
10   孟玉楼(もうぎょくろう) 西門慶の第三夫人。西門慶の死後は、知県の後妻に。
504   李供壁(りこうへき) 知県。林黛玉の死後、孟玉楼を後妻に迎える。
468 周守備(しゅうしゅび) 武官。龐春梅を妻とし、男たちすべてに兵役の義務を課す。
86 陳敬済(ちんけいさい) 西門大姐の婿。殿司大尉。軍使として、知県の訴えをしりぞける。

登場人物一覧

一列目に初出のページ、二列目に初登場話のタイトルを略記した。ほぼ名前のみの人物は省略。
■主要人物
7 赤靴 西門慶(せいもんけい) 県下随一の豪商、西門家の主人。
7 赤靴 応伯爵(おうはくしゃく) 西門慶の悪友、たいこもち。
8 赤靴 潘金蓮(はんきんれん) 西門慶の第五夫人。稀代の大淫婦。
10 赤靴 龐春梅(ほうしゅんばい) 潘金蓮の小間使い。
152 牡丹 雪獅子(ゆきじし) 潘金蓮の愛猫。
246 麝香 武大(ぶだい) 餅売り。潘金蓮の元夫。一夜のうちに九穴から血をながして悶死。
138 謝肉 武松(ぶしょう) 武大の弟。西門慶と潘金蓮の命を狙う。後に梁山泊へ。
■西門慶の親族・愛人たち
9 赤靴 呉月娘(ごげつじょう) 西門慶の正夫人。
10 赤靴 李嬌児(りきょうじ) 西門慶の第二夫人。西門慶の死後は、張二官のもとへ。
10 赤靴 孟玉楼(もうぎょくろう) 西門慶の第三夫人。西門慶の死後は、知県の後妻に。
10 赤靴 孫雪娥(そんせつが) 西門慶の第四夫人。夢中遊行の癖がある。料理上手。
10 赤靴 李瓶児(りへいじ) 西門慶の第六夫人。西門慶の子を身ごもる。
10 赤靴 宋恵蓮(そうけいれん) 西門慶の第七夫人。
10 赤靴 鳳素秋(ほうそしゅう) 西門慶の第八夫人。
8 赤靴 李桂姐(りけいそ) 花街随一の名妓。
29 赤靴 書童(しょどう) 西門慶がつれてきた美少年。
29 赤靴 画童(がどう) 西門慶がつれてきた美少年。
29 赤靴 琴童(きんどう) 西門慶がつれてきた美少年。
86 閻魔 陳恵秀(ちんけいしゅう) 呉月娘の前の正夫人。
86 閻魔 西門大姐(せいもんたいそ) 西門慶と陳恵秀との娘、ことし十七歳。病気でひきこもり。
86 閻魔 陳敬済(ちんけいさい) 西門大姐の婿。楊戩の罪が一族縁辺におよびそうになり西門家へ。
91 閻魔 朱香蘭(しゅこうらん) (宋恵蓮亡き後の)西門慶の第七夫人。陳敬済の侍女だった。
150 牡丹 楊艶芳(ようえんほう) (朱香蘭の後の)西門慶の第七夫人。
183 銭鬼 揺琴(ようきん) 韓道国の女房。後に西門慶の第七夫人に。
265 漆絵 官哥(かんが) 西門慶と李瓶児の子。雪獅子にひきつけを起こし死亡。
292 妖瞳 劉麗華(りゅうれいか) (李瓶児亡き後の)西門慶の第六夫人。
317 邪淫 ゾオラ姫 大食(タージ)の国の姫君。
319 邪淫 憑金宝(ひょうきんぽう) (楊艶芳亡き後の)西門慶の第七夫人。もと南門外の布問屋の未亡人。
361 黒乳 葛翠屛(かっすいへい) 西門慶の夫人。もと或る高官の娘。
361 黒乳 香楚雲(こうそうん) 西門慶の夫人。後に番頭の劉包と密通。
■その他の人物
10 赤靴 花子虚(かしきょ) 西門慶に妻・李瓶児を強奪され悶死。
32 赤靴 何九叔(かきゅうしょく) 検屍役人(名前は p.227でわかる)。
14 赤靴 来旺(らいおう) 西門家の門番。靴と足を好む。
59 美童 董卓(とうたく) 後漢の将軍。臍のうえに火を灯される卓蝋の刑に処された。
64 美童 劉婆(りゅうば) 盲目の老婆、鍼医で卜師で呪術師。
87 閻魔 楊戩(ようせん) 八十万禁軍提督。梁山泊の鎮圧に失敗。
108 閻魔 夏花(かか) 西門大姐の小間使い。
110 閻魔 来保(らいほ) 西門慶が都へ賄賂をもってゆかせた使者。
125 謝肉 林黛玉(りんたいぎょく) 知県閣下夫人。
135 謝肉 曾升(そうしょう) 林黛玉の爺や。西門家へ林黛玉を探しに来た。
135 謝肉 魚炎武(ぎょえんぶ) 都頭。曾升と一緒に西門家を訪れた。母夜叉に匕首を投げつけられる。
141 謝肉 唐牛児(とうぎゅうじ) 西門家の料理人。
150 牡丹 蘇竜眠(そりゅうみん) 画家。西門家に客人として滞在。
161 牡丹 蘇子虚(そしきょ) 楊艶芳にふられ、首をつった青書生。蘇竜眠の甥。
183 銭鬼 韓道国(かんどうこく) 西門慶が営む生薬舗の手代。稀代の守銭奴、大吝嗇漢。
185 銭鬼 宋鉄棍(そうてっこん) 韓道国の元主人。煙火製造業をやめ錬金術に手を染める。
269 漆絵 春燕(しゅんえん) 琴童の妹。潘金蓮の小間使い。漆に弱い。
294 妖瞳 葉頭陀(ようとうだ) 劉麗華の前夫。西門慶に敗訴させられ、行方知らずになっていた。
320 邪淫 アル・ムタッツ/達沙(たっしゃ) 異郷の僧。もとゾオラ姫の家来。
396 凍仏 雪洞禅師(せつどうぜんし) 苦行僧。泰岳東峰の雪澗洞で座禅をくむ。
402 凍仏 浪子燕青(ろうしえんせい) 梁山泊の俠党。弓の名手。水滸伝中随一の色男。
403 凍仏 母夜叉(ぼやしゃ) 梁山泊の俠党。母夜叉の孫二城(そんじじょう)。
411 凍仏 陳文昭(ちんぶんしょう) 奉行。武松らを梁山泊へ追いこむ。
415 凍仏 玳安(たいあん) 西門慶お気に入りの小者。憑金宝と密通していた。
442 魔王 劉包(りゅうほう) 西門家の番頭。香楚雲と姦夫姦婦として罰せられる。
458 魔王 宋万(そうまん) 墓番の老爺。
468 蓮華 周守備(しゅうしゅび) 武官。潘金蓮の嫁入り先。
470 蓮華 張二官(ちょうじかん) 町の金持。西門慶の死後の、李嬌児の嫁ぎ先。
504 金蓮 李供壁(りこうへき) 知県。林黛玉の死後、孟玉楼を後妻に迎える。