早引表

※法月綸太郎『キングを探せ』(講談社、2011年12月7日 第1刷発行)に基づき作成した。

No. 章節 あらすじ 伏線/備考
1 第一部 A 1 共犯者たち 8 カラオケボックスでの結団式。トランプで交換殺人の分担と順番を決める。 p.14 「もう分担は決まっている。私には選択の余地がない」
p.15 “表を向けると、王様の絵――”
2 2 夢の島 17 仕事帰り、妻が自殺していないか心配する夢の島。
アリの巣観察キットをながめている妃名子。
高校の同級生、沙絵から結婚通知のハガキ。兄が妃名子と同じ病気で自殺した。
夢の島の回想。智代と結婚したが、派遣社員だった妃名子と浮気。
智代がトラックにはねられ死亡、FXに手をだし生命保険を解約していたと知る。
再婚した妃名子がうつ病を発症。
自室でイクル君からの手紙の封を切る。
翌日の会社帰り、手紙に入っていたSuicaで新宿駅のキーレスロッカーを開ける。
イクル君からの贈り物を回収する。
p.26 イクル君からの手紙にはスペードのエースとハートのエースが入っていた。
p.26 “妃名子は二番目のターゲットと決まっている”
p.30 “あの日は不燃ごみの担当だった――殺人という選択肢を与えられたのは”
3 § 30 四人が交換殺人を決意するに至るまでの会話。  
4 3 ちぢれ毛の老人 39 ラーメンを食べに行く口実で安斎秋則の家へ。
睡眠導入剤入りのドッグフードで犬を眠らせ、三角割りで窓から侵入。
安斎秋則を脅し、金のありかを吐かせる。
プリンタスキャナを不審に思うが、エロ雑誌をデジタル保存するためと判断。
天井裏に札束を発見、盗難防止の仕掛けに気付く。
安斎秋則を絞殺し、ラーメン屋へ。つけ麺が正露丸みたいな味に感じる。
 
5 第二部 Q 4 イクル君 56 イクル君が富士見台の伯父の家へ。久能警部から事情聴取を受ける。
伯父との仲を隠さず答える。ネットカフェにいた旨のアリバイを明かす。
久能に穴の開いた万札を見せられ、天井裏の仕掛けを説明される。
天井裏の八百万はすべてプリンタスキャナによる偽札だった。
 
6 § 69 光が丘署で遺体と対面し、東長崎のワンルームマンションへ帰宅。
別れた彼女からメールが来ていた。
携帯電話でターゲットの男の顔を確認、二枚のカードを手にとる。
p.71 “NPOが主催するボランティア・イベントで知り合った彼女で”
p.72 “スペードのジャックと、ハートの3”
p.73 “二番目に死ぬのは、スペードの女王。”“イクル君が手を下すのは、その次だ。”
7 5 女王の死 74 帰宅した法月警視が景気づけに鰻の出前をとるよう綸太郎に命じる。
シロアリの女王フェロモンに関する科学雑誌の記事から殺人事件の話に。
鳴瀬紀一は携帯サイトを通じて妃名子と知り合い、つきまとった過去があった。
弁護士同伴で事件とは無関係と訴え、アリバイも確認された。
犯人は妃名子を殺害後、首吊り自殺に見せかけようとしていた。
しかし夫、渡辺清志(夢の島)にメールが届いたのは死後二時間以上経過してから。
死体の爪が切られていたことから、犯人は顔をひっかかれたと推理する警視。
それなら吉川線(他殺に特有の抵抗防御創)がないことと矛盾しない。
事件の一週間前に島谷(旧姓)妃名子が通院していないか確認の電話があった。
そこから、妃名子が結婚したことを知らない鳴瀬の犯行ではと疑った。
第二のストーカー予備軍がいた可能性はない。
前妻が妃名子に復讐しようとしたのではと綸太郎は推理する。
しかし前妻の智代は交通事故死していると警視に教えられ絶句する。
 
8 § 94 警視が風呂に入る間、水前寺清子「三百六十五歩のマーチ」を口ずさむ綸太郎。
智代の交通事故死は他殺だったのではと疑うが、不審な点はないという。
夫、渡辺清志が誰かに代理殺人を依頼したのではと綸太郎は疑う。
前妻の智代をトラックではねて死亡させた金子夏雄が共犯者ではないか。
p.124 後に金子夏雄にはアリバイがあることが判明した。
9 6 殺人者と恐喝者 102 夢の島の自宅へ線香を上げに芹沢沙絵が訪れる。
保険会社の調査員に、妃名子に自殺しそうな気配はなかったか訊かれたという。
兄が自絞死したこと、やり方を妃名子も知っていたと語る沙絵。
妃名子からの手紙を二十万円で買い取ってほしいと頼む。
 
10 § 114 トランクルームへ。安斎秋則から奪った金(偽札)を抜き取る。  
11 第三部 J 7 不測の事態 120 寝耳に水の知らせ。  
12 § 121 渡辺清志(夢の島)がトラックにはねられた知らせにT医科大学病院へ。
捜査員の仲代刑事によれば、ATM利用中に様子がおかしくなったという。
財布にはカラーコピーされた偽札が詰まっていた。
銀行へ。保険調査員をみかける。仲代刑事によれば、事故の前にも見かけたという。
警視庁のデータベースを照会したが、該当する番号の偽造紙幣は登録されていない。
 
13 8 大当たり 134 帰宅した法月警視。缶ビールで前祝い。
渡辺が所持していた口座番号のメモは手紙のお礼だと芹沢沙絵が証言。
渡辺が契約していたトランクルームからニセ札とカード二枚を発見した。
カードには渡辺以外の、誰のものか不明の指紋が付着していた。
殺された安斎秋則の家から持ち去られたダミーのニセ札と番号が一致した。
渡辺はATMで初めてニセ札だと気づきパニックになったと推理する警視。
カードの指紋が楢崎翔太のものだとわかれば交換殺人が証明される。
保険の調査員が渡辺の死をマスコミにリークしたせいか、楢崎は逃亡していた。
その代わりワンルームからカードを発見、未詳指紋が渡辺のものと一致する。
第三の人物は交換殺人の仲介役だろうと推理する警視。
スペードの札は被害者を、ハートは順番を示すのではと綸太郎。
妃名子殺しの楢崎のアリバイと、Jの事件が起きていないか捜査を依頼する。
p.155 この時点での綸太郎の推理は以下の通り。
  渡辺が所持していたカード:スペードのA、ハートのA
  第三者が所持するカード?:スペードのQ、ハートの2
  楢崎が所持していたカード:スペードのJ、ハートの3
渡辺と楢崎の二者間交換殺人だと、スペードのAが安斎秋則のイニシャルを指すのは納得できるが、スペードのJが妃名子を指すとは思えない。
妃名子ならカードはQにしそうなもの。三者間の交換殺人で、未詳指紋の第三者Xがそのカードを持っていると仮定すれば説明できるのではないか。
14 § 158 楢崎翔太を全国に指名手配するが、行方は依然不明。
妃名子殺しについて楢崎のアリバイがみつかる。
伯父の遺産相続手続きについて弁護士事務所に相談していた。
J・3に該当する事件のリストアップを急いだ方がよさそうだとぼやく法月警視。
p.159 “共犯の渡辺清志が事故死する以前に、別の理由で逃亡を図った可能性が否めなくなっていた”
15 9 兄と弟 161 ドライブに付き合ってくれないかと綸太郎を誘う法月警視。
妃名子が殺された家へ寄り道。多摩川の河川敷に大勢の人。
市民ボランティアのごみ拾いイベントだと綸太郎が説明する。
都内では、被害者のイニシャルがJで該当しそうな事件はなかった。
そこで関東六県と山梨県に捜査範囲を広げたところ関連しそうな事件があった。
柿生の自宅で高齢ニートの上嶋悦史が焼死。放火の疑いがある。
弟、上嶋務はファミレスで小説の応募原稿を書いていたアリバイがあった。
柿生に到着、妃名子の事件を嗅ぎ回っていた保険の調査員がいた。
p.164 「あれか。可燃ごみだかリサイクルだか、妙な分別キャラクターが載ってたな」
p.165 市民運動家、謝花さよ子の自宅に縦断が撃ち込まれた事件について触れる。
p.166 “おまえと同じ自宅警備員というやつだ”
16 § 172 保険の調査員、古橋は上嶋悦史と中学の同級生だったという。
弟の上嶋務とは大学の後輩でサークルが同じだから付き合いが深い。
逆に、管轄違いの神奈川県でなにをしているのかと問い詰める古橋。
駅前の蕎麦屋へ。上嶋務には兄を殺す動機があることを古橋が明かす。
リークの件を水に流す代わり、上嶋務の指紋を手に入れるよう迫る法月警視。
 
17 第四部 K 10 キングを探せ 184 古橋から連絡が入り、日比谷公園のペリカン噴水へ行く法月警視。
指紋のついたペーパーおしぼりの包装フィルムを受けとる。
古橋がスポーツジムを調べたが、上嶋務には妃名子殺しのアリバイがあったという。
 
18 § 187 法月警視が万策尽きて帰宅、綸太郎が冬場の静電気のようにまとわりつく。
上嶋務の指紋は、カードの未詳指紋と一致しなかったと教える警視。
九段社への応募原稿、真条睦敏『スタンドアローン』を見せる綸太郎。
保険の告知義務違反について上嶋務は人並み以上の知識があった。
妃名子殺しのきっかけとなったのは上嶋務との接触ではないか。
上嶋務に妃名子、安斎、上嶋悦史の三件ともアリバイがあるのは作為が臭う。
四重交換殺人の可能性があると推理する綸太郎。
数学の完全順列について蘊蓄を垂れ流し警視にとめられる。
四枚目がKとは限らないと綸太郎が注意するが、調べてみることにする警視。
ひとつ試してみたいことがあると提案する綸太郎。
p.196 この時点での綸太郎の推理は以下の通り。
  渡辺が所持していたカード:スペードのA、ハートのA
  第三者が所持するカード?:スペードのQ、ハートの2
  楢崎が所持していたカード:スペードのJ、ハートの3
  上嶋務が所持するカード?:スペードのK、ハートの4
上嶋務に妃名子、安斎、上嶋悦史の三件ともアリバイがあるのは、四番目のKを担当したからではないか?
  10/23(土) 渡辺清志(Q)→ A 安斎秋則
  11/1 (月)  ?  (K)→ Q 渡辺妃名子
  11/14(日) 楢崎翔太(A)→ J 上嶋悦史
  ?/?  (?) 上嶋務 (J)→ K   ?
19 11 りさぴょん 206 りさぴょんが授業を終え小杉町のマンション〈503 上嶋務〉へ帰る。
速達の郵便が届いている。中身はスペードのジャックと手紙だった。
逃走資金を新宿駅のキーレスロッカーで渡してほしいという訴え。
ごみ拾いイベントを回想する。キャラ別ステッカーが名札がわりだった。
あくる金曜日、新宿のカラオケボックスを訪れカネゴンと会う。
手紙は俺たちを引き合わせるための罠だと怒るカネゴン。
ダメージを最小限にするため協力が必要だと訴えるりさぴょん。
取っておきの品を披露され、カネゴンが納得する。
マンションに帰ったりさぴょんが、母親と大学時代の先輩に電話。
迎車のタクシーに乗り、新百合ヶ丘の麻生警察署までと告げる。
p.207 “カネゴンとの約束の日まで、あと四日”。上嶋務が小出俊平(K)を殺す日と思わせて、本当は楢崎が失敗した謝花優也(Ja)の殺害をやり直す予定日。
p.211 “状況は最悪だが、まだ望みはある。向こうの思い通りにはさせない。こんな卑劣な手紙を送ってきたことを後悔させてやる”
p.217 手紙の“あんたの兄さんをアレしてしまった後だから、今さら自首したって罪は軽くならないだろう。放火殺人は罪が重いらしいから、俺だけ死刑になるかもしれない。そんなのはイヤだ。”という箇所を読み“ここに付け入る隙がある”と考えるりさぴょん。
20 § 222 上嶋務の尾行班から自首の報告を受け、返す言葉を失う法月警視。
四人目の共犯者(キング)とおぼしき人物もカラオケボックスから跡をつけ、自宅を突き止めたという報告を受けていた。
手紙は楢崎が書いたのではなく、綸太郎がでっち上げたニセ手紙だった。
キングの身元が判明。関本昌彦、個人事業主となっている。
任意出頭を求めるよう指示する警視。
 
21 12 カネゴン 226 キングが犯行を自供したと本庁から連絡する法月警視。
関本昌彦はモデルガンショップの経営者で、未詳指紋と一致した。
週明けの月曜に小出俊平という人物を殺すはずだったという。
月曜日の昼過ぎ、古橋から電話があり新宿のカラオケボックスへ。
古橋は自首直前の上嶋から電話で弁護士を紹介してほしいと頼まれたという。
弁護士から、自首の決め手になったのは楢崎からの手紙だと聞いた。
楢崎は、本当は上嶋悦史殺しにタッチしていないのではないか。
上嶋悦史は自殺であり、上嶋努には叙情酌量の余地があると訴える古橋。
p.228 交換殺人の実行犯と被害者との対応表。
  10/23(土) 渡辺清志(Q)→ A 安斎秋則
  11/1 (月)関本昌彦(K)→ Q 渡辺妃名子
  11/14(日) 楢崎翔太(A)→ J 上嶋悦史
  11/29(月) 上嶋務 (J)→ K 小出俊平(犯行前に発覚)
p.235 「保険詐欺の手口とか、法医学関連の豆知識とか、小説のネタになりそうな話はずいぶんしたけれど――」
22 § 235 敗戦処理を任された投手のように疲れて帰ってきた法月警視。
関本が小出俊平を狙った背景。妻が不倫していると疑っていた。
だが事情を聴いても、不倫関係をにおわせるものはでてこなかった。
渡辺妃名子の遺書の写しを綸太郎に見せる警視。
関本は自殺した妃名子をあえて他殺にみせかけ、遺書を保険として保管した。
殺人を実行した渡辺は事故死、楢崎は行方不明。
関本と上嶋は殺人を実行しておらず尻すぼみの結末とこぼす警視。
p.241 関本はスペードのQとハートの2、上嶋はスペードのKとハートの4を保管していた。これにより、所持していたカードは以下の通り。
  渡辺清志(夢の島)  :スペードのA、ハートのA
  楢崎翔太(イクル君) :スペードのJ、ハートの3
  上嶋務 (りさぴょん):スペードのK、ハートの4
  関本昌彦(カネゴン) :スペードのQ、ハートの2
p.242 「――まぐれ当たりにもほどがある」
23 § 249 関本が妃名子の自殺を他殺に偽装した詳細を訊く綸太郎。
爪を切ったのは自殺死だと吉川線がつかないと殺人術マニュアルみたいな周辺書で知っていたから。
古橋から法医学の豆知識を教えられていた上嶋のほうが妃名子殺しの犯人像に近いと推理する綸太郎。
借りに上嶋が妃名子殺しの担当だったとしても、小出殺しの担当がいなくなると反論する法月警視。
ジョーカーのカードに印刷された王様の絵。
p.254 “うっかり敵に塩を送るような真似をして、あやうく何もかもぶち壊しにするところだった”
p.254 “市民運動家の自宅に銃弾が撃ち込まれたのは、何日のことですか?”
24 13 ジョーカー 256 カネゴンに謝花さよ子を知っているかと取調官として尋ねる法月警視。
さよ子の息子、優也のいやがらせで店の経営に支障が出ていた。
スペードのキングは初めからなかったと説明する警視。
イニシャルがJで重なる謝花はジャックで、上嶋はジョーカーで区別した。
カネゴンが、カラオケボックスでりさぴょんと交わしたやりとりを回想。
手紙の記述から、警察(綸太郎)がジャックを上嶋と勘違いしていると見抜いた。
関本による上嶋殺しをイクル君(楢崎)に押しつける。
妃名子殺しは本当は自殺だったので、それは上嶋がやったことにする。
楢崎を口封じしたのでは詰め寄る警視。ゲームオーバー。
p.263 交換殺人の実行犯と被害者との対応表。
  10/23(土) 渡辺清志(Q)→ A 安斎秋則
  11/1 (月)上嶋務 (Jo)→ Q 渡辺妃名子
  11/9 (火) 楢崎翔太(A)→ Ja 謝花優也(未遂)
  11/14(日) 関本昌彦(Ja)→ Jo 上嶋悦史
25 § 272 関本が自白したと晴れやかな笑顔で綸太郎に伝える法月警視。
関本と上嶋が楢崎をサバイバルゲーム専用フィールドで口封じした顛末を説明。
謝花は改めて11月29日に上嶋が殺害する予定だった。
警視がアントクアリウムを綸太郎にプレゼントする。
 

カラオケボックスでの分担決め

殺す相手として引いたカード

夢の島  : スペードのA(安斎)
イクル君 : スペードのJ
りさぴょん: 王様の絵……?
カネゴン : スペードのQ(妃名子)……?
 ⇒本当は、りさぴょんとカネゴンの引いたカードは逆。

殺したい相手

夢の島  : スペードのQ(妃名子)
  ⇒p.13 最初にスペードのQを引き“自分の女房を引いちまった”ことから。
イクル君 : スペードのA(安斎)
  ⇒p.13 「あんたの伯父貴だな」というセリフから。
りさぴょん:スペードのJ……?
カネゴン : 王様の絵……?
 ⇒本当は、りさぴょんとカネゴンの殺したい相手は逆。

挿入図

「私には選択の余地がない」とは?

 前提として、スペードのQ、スペードのAはそれぞれ夢の島、イクル君のターゲットであることは明示されている。
 次に p.15の描写からすると、りさぴょんは「王様の絵」のカードを引いたように読み取れる。まずはこれを前提として説明する。

 四者間の交換殺人で分担を決めるとき、以下の制約が生じる。
  (条件1)自分が殺したい相手を自分で殺してはならない(これは普通の交換殺人でも同じ)。
  (条件2)二者間同士で相手を交換してはならない(それでは普通の交換殺人が二組あるのと同じだから、わざわざ四者間にするメリットがない)。

 夢の島がスペードのAをとった後、イクル君はスペードのQをとった。これは(条件2)に反する。
 そこでイクル君は残った二枚のカードから引き直し、スペードのJをとった。場にはスペードのQと、伏せられたカード(王様の絵)一枚が残った。

 ここでもし、りさぴょんの殺したい相手が王様の絵だったとする。その場合は(条件1)からスペードのQを引くしかない。
 しかし、りさぴょんは王様の絵を引いた。従って、王様の絵はりさぴょんが殺したい相手ではないことがわかる。

 すると、イクル君がカードを引いた後の状況は図1の状態だったことになる。〈殺す〉のほうの括弧内は殺したい相手を指す。
 もし、りさぴょんがスペードのQを引くと、カネゴンに残るのは王様の絵となり、それでは(条件1)に反する。
 りさぴょんは“選択の余地がない”から王様の絵のほうを引いたことになる。

 実は、これは誤り。p.15でりさぴょんは自分のターゲットとして王様の絵のカードを引いたわけではなかった。
 真相は、カネゴンが殺したい相手はスペードのJ、りさぴょんが殺したい相手は王様の絵のカードだった。
 イクル君がカードを引いた後の状況は図2だった。この場合も上記と同じ理由でりさぴょんは王様のカードを引くことができない。
 りさぴょんは、王様のカードは自分の殺したい相手だから選べないと示そうとしただけで、殺す相手として引いたわけではなかった。

登場人物一覧

渡辺清志(夢の島)
大手製粉メーカーの社員。
渡辺妃名子
渡辺清志の二番目の妻。うつ病を発症。旧姓は島谷。
渡辺智代
渡辺清志の最初の妻。FXで大きな損失を出し、トラックにはねられ死亡。
鳴瀬紀一
うつ病の患者。SNSで妃名子と知り合い、つきまとった過去がある。
芹沢沙絵
妃名子の高校時代の同級生。兄がうつ病で自殺した。
金子夏雄
智代をはねたトラックの運転手。
楢崎翔太(イクル君)
求職中のフリーター。
安斎秋則
イクル君の伯父。
ジロー
安斎秋則の飼い犬。秋田犬。
上嶋務(りさぴょん)
公立中学で理科を教える非常勤講師。
上嶋悦史
無職。上嶋悦史の兄。柿生の自宅が火事になり、焼死体でみつかった。
古橋
保険の調査員。妃名子の事件を嗅ぎ回っていた。上嶋務は大学の後輩で、同じ文芸サークルにいた。
関本昌彦(カネゴン)
脱サラしてモデルガンショップを開店。
小出俊平
税理士。関本の店の税務を一任されていた。
謝花さよ子
イニシャルがJの被害者。市民運動家。
謝花優也
謝花さよ子の息子。サバイバルゲームのマニア。
久能
警部。安斎秋則の事件を調査。
仲代
警視庁捜査一課の刑事。尾行していた夢の島の事故死を目撃。
法月貞雄
警視庁捜査一課の警視。
法月綸太郎
作家。法月警視の御曹司にして非公式ブレーン。

時系列順出来事一覧

 直接的に年を記述した箇所はないが、本書の刊行が2011年12月であること、曜日との整合性から判断した。
 ★マークは交換殺人を実行した日。○マークは捜査側の動き。

2010/09/12(日)  p.211 ごみ拾いイベントで同じ班になった関本昌彦ら四人が交換殺人を企てる。
2010/10/10(日)  p.241 関本昌彦ら四人が新宿のカラオケボックスで結団式。
2010/10/23(土) ★p.142 渡辺清志が安斎秋則(A)を殺害。
2010/11/01(月) ★p.159 上嶋務が渡辺妃名子(Q)の自殺を他殺に偽装。
        ○p.74  妃名子殺しから約一週間後、法月親子が意見交換。
2010/11/09(火) ★p.263 楢崎翔太が謝花優也(Ja)を殺害しようとして未遂に終わる。
2010/11/10(水)  p.164 (イニシャルがJの事件)鍼灸院の院長、徐泰明が刺殺される。
2010/11/11(木)  p.279 楢崎翔太がサバイバルゲームの専用フィールドで、上嶋務と関本昌彦に殺害される。
2010/11/12(金)  p.241 楢崎翔太がこの日以降、一度も東長崎の自宅に戻っていない。
2010/11/12(金)  p.164 (イニシャルがJの事件)専門学校生の神宮司美優がラブホテルで絞殺される。
2010/11/14(日)  p.102 芹沢沙絵が渡辺清志の自宅を訪れ、恐喝。
2010/11/14(日) ★p.167 関本昌彦が上嶋悦史(Jo)を殺害。
2010/11/15(月)  p.121 渡辺清志が銀行の支店からパニック状態で飛びだし、トラックにはねられ死亡。
2010/11/16(火) ○p.134 法月親子が渡辺清志の所持していた偽札について意見交換。綸太郎が三重交換殺人の可能性を指摘する。
2010/11/21(日) ○p.161 法月警視が綸太郎を柿生までドライブに誘う。
2010/11/23(火) ○p.185 古橋が法月警視に、上嶋務の指紋を渡す。夜、法月親子が意見交換。綸太郎が四重交換殺人の可能性を指摘する。
2010/11/25(木)  p.206 上嶋務が(綸太郎が作成した偽の)手紙を受けとる。
2010/11/26(金)  p.219 上嶋務と関本昌彦が新宿のカラオケボックスで会う。上嶋が自首する。
2010/11/29(月)  p.227 関本昌彦の嘘の証言では、小出俊平の殺害を計画していた日。本当は上嶋務が謝花優也を殺す予定日だった。
2010/11/29(月) ○p.228 古橋に呼ばれ、綸太郎が新宿のカラオケボックスへ。夜、法月警視に尻すぼみの結末を聞かされる。
2010/12/02(木)  p.257 関本昌彦が法月警視から取調を受ける。