蛇足ながら、再読時の鑑賞ポイントをひとつ。
 有がたそがれの山月に変装したときには、地の文にその人物が山月であるとは記述されていない。「怪人」「黒衣に覆面をつけた男」などといった言い回しがされている。偽物の繰子、九年前の流についても同様。