※円居挽『丸太町ルヴォワール』(講談社BOX 第1刷)から作成。

出来事一覧

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第一章 朱雀の女よ(p.9)
  ●双龍会から三年前の三月二十三日、論語十五歳
  p.9下 昼食を済ませた論語が食後のコーヒーも飲まずにうつぶせで眠り込む。
2:00 p.10下 目覚める。大恩寺の鐘が鳴り、携帯電話に伸ばした左手が、ルージュの右手をつかむ。
  p.12上 芳野さんは二時半前から四時半の間、買い物で留守。
  p.15上 論語の部屋の前、廊下の床板が凹んでいることの説明。
  p.16上 論語がサングラスを装着する。
  p.16上 ルージュが「絶句したら負け」ゲームを提案する。
  p.20上 二人でコタツに入る。
  p.23下 ルージュが論語の足をくすぐる。
  p.26上 論語の家庭環境について会話。
  p.29上 ルージュの職業について会話。
  p.32上 論語が祖父の殺害計画を打ち明ける。
  p.35下 ルージュが論語は女の子だと指摘する。
  p.37下 ルージュにコーヒーブレイクを提案する。
  p.39 コーヒーがいつものブルーマウンテンではなくマンデリンだった。
3:00 p.39上 大恩寺の鐘が鳴る(論語が目覚めてから一時間が経過)。
3:10 p.41上 論語が携帯電話の音声で、時刻が午後三時十分であることを確認する。
  p.42上 王子とホモの間を行き来する男が最も素敵な男だ。
  p.45下 ポケットからはみだしているのは包帯ではとルージュが指摘する。
  p.47上 論語の眼が見えないことをルージュが指摘する。
  p.52上 ルージュと論語が接吻する。
  p.55下 胸ポケットに入っていたのは包帯ではなくレンズ拭き用ハンカチ。
  p.61下 論語が睡眠薬で眠りに落ちる。
4:05 p.63下 携帯電話の音声が午後四時五分を告げる。
四時半過ぎ p.63下 論語が芳野さんに叩き起こされ、祖父の死を告げられる。
  p.225 慈恩の推定心停止時刻は午後四時前から午後四時半。
第二章 その絆に用がある(p.69)
  ●双龍会から三日前の三月二十三日
達也と流の再会 p.70上 六年前、流と達也が出会ったエピソード。
  p.70上 “流は一字一句違わずこう叫んだ。”
  p.72上 双龍神社の裏で達也が恵心と二郎の会話を耳にする。
  p.76下 流と再会、双龍会についての由来を知る。
ブライトンへ p.78下 ブライトンに移動し、流から三年前の事件について説明を受ける。
  p.84上 湯島に案内され、論語と顔を合わせる。
  p.88上 群生類集と呼ばれた達也のエピソード。
  p.91下 論語が三年前にルージュと会話した内容を語る。
落花たちに遭遇 p.95上 城坂家を訪れる前に双龍神社へ足を向けた達也が龍樹落花たちと出会う。
  p.102上 城坂家の現場を確認する。
  p.102上 “つまりはそれぐらい特筆すべきようなことが起きなかったということだ”
  p.102下 芳野から名前やあおさんのことを訊く。
  p.104下 電話で論語から黄龍側が示す三つの証拠、ルージュ候補について相談。
  p.108上 城坂家をでた達也が、龍樹撫子と出会う。
ブライトンへ戻る p.113下 ブライトンへ戻る途中、タクシー内で流から龍樹家の過去を知らされる。
  p.120下 流から『アミューズ』で、双龍会でのイカサマは可能かどうか、落花と大和の技について訊く。
第三章 さらば甘き眠り(p.131)
論点 発言者 発言
(開廷) 火帝(時代) p.155上 問おう黄龍師、お主の心は?
黄龍(大和) p.155上 五戒に誓って、曇りなし。
火帝(時代) p.155上 問おう青龍師、お主の心は?
青龍(流) p.155上 一世を賭して、偽りなし。
火帝(時代) p.155下 問おう御贖、お主の心は?
御贖(論語) p.155下 三途を眺めて、憂いなし。
火帝(時代) p.155下 双龍、存分に参られい!
  ――双龍会が開始しました。
  ――青龍師が冒頭陳述を開始します。
慈恩の死因 黄龍(大和) p.155下 城坂論語は祖父を殺害したかどで双龍会にかけられた。
青龍(流) p.155下 異議あり! 世間的には慈音氏の死はあくまで自然死だ!
  ――p.156上 青龍師がホワイトボードで事件当時の人の流れを説明します。
  ――p.157上 青龍師が鳥官:近藤雅巳を召喚します。
鳥官(近藤) p.158上 慈恩さんはどこに出しても恥ずかしくない自然死のホトケさんでした。
黄龍(大和) p.159下 慈恩氏はおそらく自然死ですが、ペースメーカーの動作不良も疑える?
鳥官(近藤) p.159下 そういうことですなあ。
論語の犯行証明 黄龍(大和) p.159下 黄龍側は三つの証拠品を提出します。
  ――黄龍側証拠品甲:論語の携帯電話が提出されました。
  ――黄龍側証拠品乙:城坂邸の固定電話が提出されました。
  ――黄龍側証拠品丙:通信記録が提出されました。
黄龍(大和) p.160上 御贖は慈恩氏の離れに携帯電話を持ち込み、固定電話から何度もコールした。殺意があったのは明らか。
青龍(流) p.160下 青龍側には反論の用意があります!
  ――青龍師は御贖に証言を要請しました。
御贖(論語) p.161上 事件の二日前、正確には前日、携帯電話がみつからなかったため固定電話からコールして探しました。
青龍(流) p.162上 てなわけで、固定電話に御贖の指紋が残っていることは不思議ではない。通信記録を証拠品として提出するぜ。
  ――青龍側証拠品甲:通信記録が提出されました。
黄龍(大和) p.163下 それは同時に、御贖が固定電話まで歩けたことを意味する。証明してくれてありがとう。
青龍(流) p.163下 だからといって、離れに携帯電話を持ち込むのはハードルが高いぞ。
黄龍(大和) p.164上 通信記録は御贖の器用さを証明している!
青龍(流) p.165上 携帯電話は椅子の下にあった。コールしたところで電波の力が足りない。
黄龍(大和) p.165上 ケース1:慈恩氏の懐に携帯電話を忍ばせたが落ちた、ケース2:あえて椅子の下に置き拾わせた。
青龍(流) p.165下 電波が届かない位置に携帯電話があった以上は自然死だと主張するぜ。
黄龍(大和) p.166上 ペースメーカーのことを知っていた御贖が携帯電話を手放したことの責任はある。
青龍(流) p.166上 じゃあ、御贖が離れに携帯電話を持ち込んだと主張する根拠はあるのか?
黄龍(大和) p.166下 ある。だが立証は後回しとさせて頂きたい。
火帝(時代) p.167上 言い分を認めよう。
青龍側の反論 黄龍(大和) p.167上 青龍側に反論はあるか?
青龍(流) p.167上 おう。隠されていた真実を明かすぜ。
  ――p.168上 青龍師はホワイトボードにカード『X嬢』を追加しました。
青龍(流) p.168下 御贖は午後二時から午後四時までX嬢と時間をともにしていたんだよ。
黄龍(大和) p.168下 それではどうして御贖は眠った状態で発見されたんだ。
青龍(流) p.169上 睡眠薬を盛られたからだ。
黄龍(大和) p.169上 人間が存在した痕跡を僅かな時間で消せるものか。X嬢の人物像を説明してもらおうか。
  ――p.170下 ホワイトボードの裏に黄龍師がX嬢の特徴を列挙します。
黄龍(大和) p.171上 何だか抽象的な特徴ばかりだ。
青龍(流) p.171下 御贖は失われた視覚を聴覚の冴えで補っていた。声の特徴は拾っている。
御贖(論語) p.171下 カナリヤほど美しい声ではないですが、ベテランの声優が若い人間の演技をしたような声でした。
青龍(流) p.172上 X嬢が慈恩氏の死にも深く関わっていると思う根拠を説明してくれ。
御贖(論語) p.172上 彼女はぼくの携帯電話を盗もうとしました。祖父を殺害する容疑を逃れるためだったのでしょう。
黄龍(大和) p.172下 御贖の証言以外に、X嬢の存在を立証する準備はあるのか?
青龍(流) p.173上 おうよ。
なぜX嬢の存在を伏せたのか 黄龍(大和) p.173上 根本的なことを確かめよう。なぜそんな重大な事実を三年も伏せていた? 影彰氏か湯島氏に証言を頂きたい。
御贖(論語) p.174上 湯島さん、構いませんよ。
  ――p.174下 湯島茂が鳥官台に立ちました。
鳥官(湯島) p.175上 事件当時、茶箪笥を調べましたが指紋はみつからず、きっと慈恩氏を亡くして気が動転しているのだと思いました。
御贖(論語) p.175下 今の言い方だと、ぼくに話していないことがあるということですか?
鳥官(湯島) p.176上 ポットにはコーヒーではなく紅茶が入っていました。
御贖(論語) p.176下 そんな馬鹿な! X嬢とは右手を握っていました。夢のわけがない。
黄龍(大和) p.177下 そもそも眼の見えなかった君がX嬢の差しだしたマグカップをどう確かめたのか?
御贖(論語) p.177下 部屋の壁にぶつけてマグカップの縁が欠けていましたので。
黄龍(大和) p.178上 なぜわざわざ縁の欠けたマグカップを取らせたんだ?
御贖(論語) p.178上 縁が欠けていることを理由に突き返せば、冷静に思考する時間が稼げたからです。
黄龍(大和) p.178下 もう結構。鳥官、続きを。
鳥官(湯島) p.178下 芳野さんは壊れたマグカップの話を認めた上で、茶箪笥には触れてないと仰いました。
黄龍(大和) p.178下 芳野さん、訂正すべき点はありますか?
群衆(芳野) p.179上 ありません。ポットに淹れたのはコーヒーに詳しくないあおさんでしたから紅茶だったのかも。
御贖(論語) p.179下 そんなはずはない。あれは紅茶ではなくマンデリンでした。
黄龍(大和) p.179下 立証はできないな?
御贖(論語) p.179下 あとでしてみせますよ。
群衆(芳野) p.180上 目を覚ました論語さんに私は丁度いいと思ってマンデリンを淹れました。それで夢と勘違いしたのでは。
御贖(論語) p.180上 丁度いいとは?
群衆(芳野) p.180下 マンデリンの粉が目分量で丁度一杯分くらい残っていたの。
X嬢の存在証明 黄龍(大和) p.181上 X嬢の存在を示す証拠は無い。
青龍(流) p.181下 X嬢が存在した証拠を提出します。
  ――p.182上 青龍側証拠品乙:湯呑みが提出されました。
青龍(流) p.182上 御贖は最初X嬢にこれを差しだされたが、湯呑みでコーヒーが飲めるかとつっぱねたんだ。
黄龍(大和) p.182下 その証拠品、調べさせて貰えるか。
  ――p.183下 黄龍師の隠しコマンド「証拠品すりかえ」が発動しました!
青龍(流) p.184上 指紋の照合をお願いできますか? 煩雑であれば別の物証で立証を進めますが。
火帝(時代) p.184上 双龍会は古式ゆかしいやり方が望ましい。そちらにして貰えると助かる。
青龍(流) p.186上 ま、勝負は決まったな。叡山電車で惑わず往けよ。
どうやって睡眠薬をもったのか 黄龍(大和) p.186下 よほど斬られたいと見えるな。我が刃、受けてみるか。御贖、睡眠薬を盛られたことに気づかなかったのか?
  ――p186下 黄龍師が攻撃コマンド「暗剣殺」を放ちました。
御贖(論語) p.187上 濃い目のコーヒーに混ぜたのなら解らないでしょうね。
黄龍(大和) p.187上 コーヒーに速やかに溶けた性質からして睡眠薬は粉末状だろう。御贖、ちょっとこちらに来て欲しい。
  ――p.187下 御贖が黄龍側の龍壇の前に移動します。
黄龍(大和) p.188上 右腕を封じられた状態で、胸ポケットの砂鉄を湯呑みに入れられるか試してほしい。
  ――p.188下 黄龍師がバランスを崩し、御贖は砂鉄をこぼしました。
黄龍(大和) p.189上 ほら、こんなこともある。こういう状況で精密な作業は無理ではないか? 袋を裂く音などはなぜ聞こえなかった?
御贖(論語) p.187下 ちゃんと感覚を研ぎ澄ませていました。細工をしたタイミングがあるとすれば、ぼくがコーヒーを注いだ時間だけです。
青龍(流) p.190上 待て待て、そもそもX嬢の利き手が右手だったとは限らないぞ。
黄龍(大和) p.190上 無警戒な状態で伸ばした手をつかまれたのだ、利き手に間違いない。
青龍(流) p.190下 コーヒーを注いだときではなく、カップを渡したときには既に入っていたのかもしれない。
黄龍(大和) p.190下 ありえない。御贖は二度にわたって容器の交換を要求している。睡眠薬を三包みも用意していたはずがない。
  ――p191上 黄龍師の攻撃コマンド「暗剣殺」がヒットしました!
御贖(論語) p.191下 火帝、ちょっとよろしいですか? その湯呑み、キャンセルします。三年の間に指紋が消えていたら無粋ですから。
  ――p.192上 青龍師が隠しコマンド「証拠品すりかえ」に気づきました!
黄龍(大和) p.193上 念仏八丁、唱える余命は残しておいた。所詮、刃挽きの我が身なれば。
  ――p.193上 青龍師の主張により、双龍会は三十分間休廷します。
(休廷)   p.201上 湯呑みをルージュは見逃してくれず、これ見よがしに磨きあげられていた。
  p.202上 撫子の“髪型が下がり気味のポニーテールになっていたが”
  p.204上 “流は論語の注文に応えるべくトイレに駆け込んだ。”
  p.204下 “流が差し出したものを達也はうやうやしく受け取る”
(再開)   ――双龍会を再開します。
  ――p.206 青龍師が瓶賀流から御堂達也に交代しました。
睡眠薬の矛盾への反論 黄龍(大和) p.207下 睡眠薬について、納得のいく説明をするか、あるいは嘘を認めるか。
青龍(達也) p.208上 嘘はない。X嬢は御贖とコーヒーブレイクの後で接吻した。そのとき口移しされたんだ。
黄龍(大和) p.208下 それではX嬢も睡眠薬を摂取することになる。
青龍(達也) p.209上 X嬢はわざわざカップを洗い片付けている。それは睡眠薬をコーヒーですすぐ必要があったからだ。
X嬢の存在を示す新しい証拠 黄龍(大和) p.210上 まあ、反論にはなっているか。とんだ穴熊囲いだ。だが人間が一人消えるなどという荒唐無稽な嘘はどこかに綻びがある筈。
御贖(論語) p.210下 ぼくの美しい思い出を嘘呼ばわりだなんて! 御堂君、あれを出しましょう。
青龍(達也) p.211上 火帝、青龍側には新たな証拠を提出する用意があります。
  ――p.211上  青龍側証拠品乙:口紅でキスマークの残されたハンカチが提出されました。
黄龍(大和) p.211下 待った! なぜそれを三年前の時点で提出しなかったんだ?
御贖(論語) p.212上 このハンカチは彼女からの信頼の証です。差し出すくらいなら黙ってしまった方がマシだと思ったんです。
黄龍(大和) p.212下 輝かしい未来を捨ててまでか?
御贖(論語) p.213上 ルージュとの思い出が守れるのなら安い取引です。
青龍(達也) p.214上 黄龍側に何か言うことがあるか?
黄龍(大和) p.214下 もしその証拠品が偽物ならお前は一発退廷だが、取り下げたりはしないだろうな?
御贖(論語) p.215上 青龍側は不退転の決意ですよ。
落花=ルージュ 黄龍(大和) p.215上 ならばここからは抜き身の斬り合いだ。黄龍側は龍樹落花を鳥官台に立たせたいと思います。
  ――p.215上 黄龍師が攻撃コマンド「暗剣殺」を放ちました。
  ――p.215上 黄龍師が鳥官:龍樹落花を召喚します。
鳥官(落花) p.216下 三年前、後援者を失のうたウチは葵さんの紹介で慈恩さんに後ろ盾なってもらえへんかお願いしたんねん。
青龍(達也) p.217上 何が言いたいんだ?
鳥官(落花) p.217下 そんなら、落ちた花活けよか。
  ――p.215上 鳥官が攻撃コマンド「落花戻し」を放ちました。
鳥官(落花) p.218上 アンタらがX嬢と呼んでいるのはウチなんと違うか?
青龍(達也) p.218上 待て、関係者の誰にも目撃されずに侵入、脱出できたはずがないと指摘したのはアンタたちだろう?
鳥官(落花) p.218下 葵さんから通してもろてん。
青龍(達也) p.218下 生前の姫名葵さんはそのことを一言も口にしていない。
鳥官(落花) p.218下 一応、嫁入り前の娘やさか気を遣ってくれたんや。葵さんは出入りを把握してウチのアリバイ知ってたし。
青龍(達也) p.219下 何故それを今の今まで黙っていたんだ。あまりいい態度とは言えないな。
火帝(時代) p.219下 ワシも同じ思いだ。納得できる答えでなければ退廷もあり得るぞ。
鳥官(落花) p.220上 嫁入り前のウチが坊ちゃんと乳繰りおうてたなんて言えまへんやないか。
落花=ルージュの証明 青龍(達也) p.220上 決定的な物証や本人だけが知りうる情報を晒してくれないと認められないぞ。
鳥官(落花) p.220下 久しぶりだね、ムッシュー・ブラン?
御贖(論語) p.220下 なるほど、龍樹のナーガールジュナからとってルージュだったわけですか?
鳥官(落花) p.221上 私は龍樹(りゅうじゅ)でルージュのつもりだったんだけどね。
火帝(時代) p.221上 御贖、ブランというのは?
御贖(論語) p.221上 ルージュがつけたぼくの仇名ですよ。
火帝(時代) p.221上 この呼び名を知っている人間は?
御贖(論語) p.221下 ほとんどいないんじゃないですかね。
火帝(時代) p.221下 では龍樹落花をX嬢、つまりルージュとして認めざるを得ないが、異議はないか?
落花のアリバイ 青龍(達也) p.222下 アンタがルージュだというのなら、携帯電話や睡眠薬について証言してもらおうか。
鳥官(落花) p.222下 はあ? 私は事件当日、部屋で御贖と過ごしただけでそんなものは知らないよ。
黄龍(大和) p.222下 火帝、我が姉の潔白を証明するため、新たな鳥官を呼ぶことをお許し願いたい。
  ――p.223上 黄龍師が鳥官:恵心祐次を召喚します。
黄龍(大和) p.223上 三年前の三月二十四日、表向きの祭事のほうの双龍会について証言してください。
廷吏(恵心) p.223下 あの日は午後三時四十五分に落花さんが参加されました。
青龍(達也) p.224上 その記憶は確かですか?
鳥官(落花) p.224上 恵心さんは瞬間記憶能力がある。そこから付いた号が『目祐筆』さ。
青龍(達也) p.224下 わかりました、認めます。
鳥官(落花) p.224下 三年前、私は慈恩氏との会談後、ブランとお喋りしたが、午後三時半には城坂邸を辞した。
黄龍(大和) p.225上 慈恩氏の推定心停止時刻は午後四時前から四時半、犯行は不可能だ。
青龍(達也) p.225上 遠隔殺人を疑う余地はある。
黄龍(大和) p.225上 慈恩氏の命を奪ったコールは城坂邸の固定電話からのものだ。
青龍(達也) p.225上 双龍神社からトンボ返りした可能性もある。
廷吏(恵心) p.225上 ありません。午後四時二十五分まで落花さんから目を離しませんでした。
鳥官(落花) p.226上 落花狼藉、堪忍な。
  ――p.226上 青龍師の攻撃コマンド「暗剣殺」がヒットしました!
  ――p.226上 鳥官の攻撃コマンド「落花戻し」がヒットしました!
第二のルージュ登場 黄龍(大和) p.229上 さて火帝、ハンカチの口唇紋の鑑定をしていただきたい。証拠品がでっち上げだとわかるでしょう。
青龍(達也) p.230上 火帝、その鑑定、考え直してはいただけませんか。青龍側は先に別の鳥官の話を聴いていただきたい。
黄龍(大和) p.230上 みっともない真似は慎んでもらおうか?
青龍(達也) p.230上 勘違いするな。鳥官は、本当のルージュだ。鑑定の手間を省いてやる。
黄龍(大和) p.230下 支離滅裂だ。ルージュ当人を立たせる用意があったなら、物証を積む必要はなかったはず。
青龍(達也) p.231上 アンタと同じだ。世間体を気遣う人間がルージュだったからだ。青龍側は瓶賀流を鳥官台に立たせる。
  ――p.231下 青龍師が鳥官:瓶賀流を召喚します。
  ――p.231下 瓶賀流がお茶を吹きました!
黄龍(大和) p.232下 何故、城坂家の敷地内にいた?
鳥官(瓶賀) p.232下 たまたま京都市動物園の観覧車から屋敷の中にいる美少年を覗けたんだ。
御贖(論語) p.233上 瓶賀さん、もっと言って下さい!
黄龍(大和) p.233上 どうしてルージュという偽名を?
鳥官(瓶賀) p.233上 あたしの二つ名が赤いカラスマだったからだよ!
御贖(論語) p.234下 貴女はぼくのいた部屋に侵入した時、どんな手順を踏みましたか?
鳥官(瓶賀) p.234下 襖を細く開けて、お前が寝ているかどうかを確かめた。
鳥官(落花) p.235上 甘いなみっちゃん、部屋の前の廊下が微妙に歪んでるの、ホンマもんのルージュなら口にできへん筈はないわな。
御贖(論語) p.235上 もうこれ以上、質問をする必要は無いようですね。
鳥官(落花) p.235上 みっちゃん浪人時代はまだ京都に住んでないやろ。ルージュを名乗った理由が矛盾してるで。
落花の不正行為の証明 青龍(達也) p.235下 龍樹落花。アンタ、棋士だな。開廷前、アンタが目にしていた紙束を見せてくれないか?
火帝(時代) p.236下 その書類、見せて貰おうか?
  ――p.237上 落花が火帝に紙束を渡しました。
火帝(時代) p.237上 これは一体何なのだ?
青龍(達也) p.237下 御贖が俺に語った打ち明け話を、黄龍側が盗聴したものです。
鳥官(落花) p.237下 そこの坊ちゃんが備忘録的に書いた文書が流出したのかもしれへん。
御贖(論語) p.237下 ぼく、そんなもの書いた記憶はありませんよ。
青龍(達也) p.238下 俺が聴いた打ち明け話と、その文書が一字一句まで一致するなら盗聴の証明になるでしょう。
鳥官(落花) p.238下 やれるもんならやってみい。
  ――p.239上 青龍師が暗唱を始めました。
火帝(時代) p.239上 信じられないが、青龍師の言葉と書類の文言は一致する。
鳥官(瓶賀) p.240上 こいつには瞬間記憶能力があるんだよ。
青龍(達也) p.240下 納得していただけら、数ページ内に芳しい野と書く、芳野という字がありませんか?
火帝(時代) p.240下 おお、確かにあったあった。
青龍(達也) p.241上 芳野由乃さんは事件当時は未婚で、有村さんでした。盗聴犯の黛さんはそれを知らず芳野という字をあてたのです。
鳥官(落花) p.242上 アンタらには負けたわ。不正行為の片棒を担いでいたことを認めるで。
御贖(論語) p.243上 火帝、そのハンカチは瓶賀さんのものです。ぼくが頼みました。
落花≠ルージュの証明 鳥官(落花) p.243下 みっちゃん、ウチがルージュであることは依然動かへんねんで。
青龍(達也) p.244下 目から火が出る王手飛車、だな。どうして俺が盗聴に気づいたと思う?
鳥官(落花) p.245下 どういうことや?
青龍(達也) p.245下 あの部屋の前の廊下に、騙し絵のような出っ張りなんかありはしない。御贖は盗聴されていることに気づき、わざと俺に嘘をついた。
  ――p.245下 龍樹落花が押し黙りました。
青龍(達也) p.246上 指し手黙すは棋士の瑕だ。
論語が黄龍師に 火帝(時代) p.246上 まったく前代未聞の双龍会だ。龍樹家の人間にこれ以上任せるわけにはいかん。交代要員がいないなら、青龍側の勝ちになるが。
御贖(論語) p.247上 そういう訳には行きません。火帝、ぼくが黄龍師をやります。
火帝(時代) p.248上 解った。認めよう。
  ――p.248上 黄龍師が龍樹大和から城坂論語に交代しました。
鳥官(落花) p.248下 なあ、彼女のことはアンタに任せてもええんやな?
御贖(論語) p.248下 ぼくは言吹きの論語ですよ。こんな泥沼の場だって、言の葉を吹いて寿と為して見せましょう。
  ――p.248下 龍樹落花が城坂論語に号「白澤」を与えました。
御贖(論語) p.249上 左様ならば、言の葉吹きましょうか。ぼくはなんとかルージュを探そうとしましたが敵がいました。
青龍(達也) p.249下 それは城坂家だな?
御贖(論語) p.250上 そうです、だからあえて医学部に願書を出し、骨肉の争いを招くことで双龍会に持ち込みました。
ルージュの正体 青龍(達也) p.250上 もうルージュの正体にも見当がついていることだろう。
御贖(論語) p.250下 ええ。睡眠薬はその効果からして口移しで飲ませられる量ではなかったのです。
青龍(達也) p.250下 さっきは俺の援護のため故意に口をつぐんだんだな。
御贖(論語) p.251上 コーヒーを紅茶にすり替えたこと、ぼくが深く眠っているとルージュが思い込んだこと、これらから睡眠薬が最初からポットに入っていたとわかります。
青龍(達也) p.252下 ポットの中身を分析されないよう、代わりに紅茶を入れたわけか。
御贖(論語) p.252下 それならばコーヒーを入れるのが当然では?
青龍(達也) p.252下 そうしたかったろうが、マンデリンの粉は一杯分しか残っていなかった。
御贖(論語) p.255上 ルージュはポットに睡眠薬を投入でき、マンデリンの残量も確かめなかった人物、あおさんです。
姫名葵の動機 火帝(時代) p.255下 馬鹿な! あおさんには動機がない……。
御贖(論語) p.256下 慈恩(祇園)、葵、時代。三大祭りじゃないですか。三人は幼馴染みだったのでは?
火帝(時代) p.257上 その通りだ。二人はかつて相思相愛だった。
鳥官(落花) p.258上 火帝、口を挟ませてもらいます。
  ――p.258下 龍樹落花は姫名葵の手紙を提出しました。
御贖(論語) p.263上  それでは、マドモアゼル・ルージュ。オ・ルヴォワール……。
  ――双龍会が終了しました。

登場人物一覧

※括弧内は双龍会開催時の年齢。

城坂論語(18) 祖父殺しの嫌疑をかけられた美少年。ブラン(p.25上)。言吹きの論語(p.51上)。
ルージュ 三年前に姿を消した幻の女。朽紅のルージュ。「左様ならば、死に紅引こうか」(p.62上)。
御堂達也(18) 流の後輩。法学部に入学。群生類集(p.88上)。發王(p.205下)。
瓶賀流(22) 法学部所属。心に男子中学生を飼っている(p.86上)。赤いカリスマ(p.87下)ではなく赤いカラスマ(p.200上)。
龍樹落花(22) 特級龍師。紅龍弁天(p.98下)。落花戻し(p.122下)。
龍樹撫子 落花の妹。
龍樹大和 一級龍師。暗剣殺(p.124)。
恵心祐次 賢波。目祐筆の祐次。
慈恩 論語の祖父。
影彰 論語の父。
純紀 論語の叔父。
湯島茂 影彰の秘書。ブライトンで論語を監視。
黛(28?) 純紀の秘書。ブライトンで論語を監視。
楠木 慈恩の秘書。祖父殺しの証拠を確保し純紀に献上した。真の福祉を学ぶため北欧出張中(p.106上)。
芳野由乃 城坂家のお手伝い。旧姓は有村(p.195)。
姫名葵 慈恩の愛人を管理する老女。あおさん。
荻島時代 元政治家。龍樹家のパトロン。火帝を務める。
荻島時生 時代の孫。流と同回。
香為 時生の妹。論語の許嫁だった。東京で声優をしている。
近藤雅巳 京都大学医学部教授。慈恩の検屍を担当した。