2002/04/01 22:30 3/30 22:00を一部修正、3/31 23:00を追加
3/31 22:00
目を覚ます。パジャマ姿の僕が上半身を起こす。目覚まし時計を見ると十時。はて、午前十時だろうか、午後十時だろうか。カーテンが閉ざされた窓の外は暗い。身体中が筋肉痛。
ああ、そうかMYSCON3が終わってから風呂に入り、カップラーメンで朝食をとった後、寝たのだ。十二時間連続睡眠か。確か夕方四時頃にも一度目が覚めたような気もする。
僕は二十九時間前に記憶を遡らせる……。
3/30 17:00
飯田橋で味噌ラーメン&餃子の昼食と漫画喫茶により時間を調整し、南北線で東大前駅に移動する。ちょうど午前五時に会場である森川別館に到着。かなりわかりにくい場所だが「言問い通りを渡って三番目の角を右に」ということを覚えておいただけで奇跡的に到着。
受付で会費を払い名札をもらう。名前を言う際、思わず爆笑してしまう。フォントでは何百回も使ったが「杉本@むにゅ10号」は口では初めてかも。
案内された三階奥の「あかつき」でしばし待つ。同じ部屋に来た初対面のπRさん、norioさんとご挨拶。
3/30 17:55
五分前に大広間に移動すると既に人でいっぱい。オフでは初対面の深川択さんとご挨拶。面識がないはずの方から声をかけられ、どうしてと思ったら、以前掲示板に書込いただいた極楽橋水軒さんの現在の名前と知らされびっくり。
六時になり開会の挨拶、そして西澤保彦さんへのインタビュー。大学時代の話、作家になるまでの経緯、作品制作秘話(最新作のタイトルについてとか)、登場人物の名前(原稿にルビを振り忘れた名前があるのに気付いたが、なんと読むのかわからなかったそうな)、舞台化といったことについて話されていた。
その後で休憩タイム。コンビニに行き夜食(パン、肉まん、鶏唐)とつまみを買う。気付くとレジには行列が。皆同じ事を考えたらしい。食後、なんとなく旅館の建物が興味深くて一回りし、無駄に体力を使い、後に響くことになる。
3/30 20:30
再び大広間に集結。全体企画「MYSCON的裏窓」は九グループそれぞれで四コマ漫画セリフ穴埋めを考えるというもの。
僕はグループ3。N大学ミステリ研会員同士のnakachuさんと久し振りのご対面。小説書いてますかと訊かれる。書いてはいるが、今年の創元短編応募はまたもや締切ギリギリになってしまった。
光原百合さんの顔を見て『遠い約束』を持ってくるのを忘れたことに気付く。
肝心の企画のほうは、お笑いネタ案も考えたがやはり光原百合さんが女性役の声をやることもあり「感動もの」に決定した。男性役は「最後のモノローグはぜひ、その渋い声で」とともさんに決定。
で、本番。印象に残ったのは「オイディブス症候群はこんなことにも使えます」というのとプロ・喜国雅彦さんの「ドラえもんが壊れちゃった」かな。
そうそう、企画が終わった後、トイレに行ったら喜国さんと隣同士に。一瞬「松田道広『トリック専科』が手に入らないとサイトに書いていらっしゃいましたが確か大森か大井町の駅ビルデパートで見かけましたよ」という話題が思い浮かんだが、状況が状況だけに自粛。
3/30 22:00
MYSCON3オリジナルスタンプを押す。スタンプラリー形式で大広間と企画部屋二つを周ってくるものだから再びよけいな体力を使う。読書会の部屋Bにあったスタンプは「みすごん3」という文字に魔法のランプからでてきそうな大魔人(しかし顔はスマイルマーク)で、MYSCONのマスコットキャラクター(?)なのだそうな(松本楽志さんデザインと聞いたような気がするが記憶曖昧)。
読書会に参加するため部屋Bに移動。市川憂人さんとお久しぶりね挨拶。斜壊塵の哀しみを語り合う。オフでは初対面の近田鳶迩さんともご挨拶。
読書会担当の蔓葉信博さんのお手伝いでレジュメをみんなで製本。各大学ミステリ研によって製本方法が違うことを知る。N大は重ねてから折るのだが、ここでは折ってから重ねていた。企画が早く終わったので長々と雑談。学生アリスの四作目が次のメフィストに載るそうな。そういえばMYSCON終わった次の日は四月一日ですね、と黒い企みを持ちかける。
十時四十五分から読書会スタート。盛況で、最初に全員が自己紹介をかねて感想を言うだけで三十分ぐらい経っていたように思う。
読書会内容は即ネタバレなので詳細は略。綾辻作品へのオマージュ、あるいはパロディではという見解とか、アンフェア論議とか。篠田真由美さんが梵貝荘の捻れ構造と物語の捻れ構造がシンクロしているのが建築に興味がある作家として美しいという趣旨のことを述べていたのが印象に残った。
時間がアッという間に過ぎて終了。蔓葉さんが締めに「できれば後で裏読書会を」と言っていたが実現したのだろうか。
3/31 24:20
さて、ここら辺で僕の体力が限界に至る。読書会会場が大入り満員で熱気が凄く、暑さに弱い僕はかなりバテていた。大広間に移動したがここでも人の熱気でのぼせてしまい、それならばと古本オークション会場に向かうがこっちはなぜか皆立ったままでいる。またもや無駄な体力を使いながら大広間に戻り休憩。寝ちゃおうかなと思いながらも意地になって残る。嵐山薫さんとご無沙汰してます挨拶をこの前後に交わしたはずなのだが記憶曖昧。
十二時半、突然照明が消え、悲鳴。みのるさんが殺されてる、の声。この時点で既に笑い声が。スーツ姿の捜査員達(もちろんGAKUさんや松本楽志さん等MYSCON参加者の人達)がどかどかと登場。事件名称、見取り図、証拠物件などをお題にしながら捜査会議は進み、めでたく(?)犯人・西澤保彦さんが逮捕される。自分の名前まで書いておいてキープしていたビールを飲まれてしまったのが動機というのも凄いなぁ。ネタはなかなか笑えたけれど目が悪い僕は後ろのほうにいたせいでよく見えなかったのが残念。もう少し大きな声でやってもらえればありがたかったかな。
安楽椅子探偵最新版を上映するというので観る。ウーム、さっぱり。パターンとしては殺害時刻と密室形成時刻が異なるというアリバイトリックかな、などと思うけどそれならもう一度見直さないとわからないわけで諦める。解答編はDVDを待つことにした。
さすがにこの頃には部屋に戻って寝る人が多く、大広間は人が減り涼しくなったおかげで少し元気に。それでも二、三十人はいたかな。
この後はあっちこっちの会話の輪にこそっと参加したのだが、脳神経がぷちぷちっとちぎれ始めたので記憶曖昧。
明け方、光原百合さん(完徹されたそうな)や市川憂人さん等で「市場に合わせてミステリが細分化されていくことで、一部分の作品しか読まずミステリ共通のエッセンスを読みとれない読者が増えているのでは」「本格ミステリファンを増やすにはミステリのエッセンスを伝えられるようなガイド本を新しく作らなければ駄目だ」といった趣旨(無理矢理まとめたので違ってるかも)の濃い議論に。とうとう「本格ミステリのエッセンスについて順番に語ろう」ということになり、MYSCON応募時のアンケートに挙げていた好きな作家、昨年のベスト作品についてその理由と本格ミステリのエッセンスについて語った。
確か僕は「本格ミステリとはマジック、パズル、ガジェットからなる。マジックについては綾辻行人『十角館の殺人』で頂点に達し、それ以降はそのバリエーションがあるだけだ。我孫子武丸『殺戮に至る病』と殊能将之『ハサミ男』を比べるとかつての新本格は研究室で日々新しい技術を発見していく状態だったのに対し、現在は市場のためにきれいにパッケージングされた商品しか流通されない。個人的にはマジックよりパズルに興味がある。アイザック・アジモフ『黒後家蜘蛛の会』でヘンリーが語る『あらかじめ証拠となるべき事実が示されておりまして、あとになって、そこに気付かなかった自分の知恵の不足を恥じるという』作品を読みたいと思う」といったことをしゃべったように思うが記憶が定かではない。「現在はパッケージングされた商品しか流通されない」というのはさすがに大雑把過ぎるなぁ。メフィスト賞もあるし、面白いことをやろうとする作家も多いし。
3/31 07:00
けっきょく完徹。いったん部屋に戻り荷物をとってくる。大広間に戻り閉会宣言。今回のMYSCON3、一時は中止も考えられたという。
ふらふらになりながら東大前駅に向かう。無事に家に帰るまでがMYSCONである。
3/31 23:00
……ふと気付くと、僕は二十九時間分の記憶の旅路を終え、自分のマンションに戻っていた。いやぁ、いろんな人にお世話になったものだ。挨拶できなかった人もいたけれど、濃い議論もできたし充実した時間だった。
さあ、明日からは会社だ。眠れないかもしれないけど寝ることにするか、と横になってからフト思い出した。
そうだ、読書会のときにその場にいた人達に「MYSCON終わったらレポートを書くでしょう。ところでMYSCON終わった次の日ってエイプリルフールですよね……ちょうどいいと思いませんか」と悪の勧誘をしたのだった。
ウーム、まさか品行方正で常識ある菩薩のようなMYSCON参加者がこんな腹黒い企画に参加してくれるとは思えないが、やはり発案者である僕自身は実行する義務がある(?)。
布団の上でうつぶせにノートパソコンにタイピングを始める。なんか副題が欲しいなと思い、思案の末明け方の濃い議論を思い出しちょっと大袈裟な副題をつける。書き続けること約二時間、いったん寝て起きてから出社前の時間を利用して約一時間、なんとかレポートは完成した。折良くMYSCONスタッフ代表のフクさんから「レポート書いたら教えてね」メールが届き、MYSCON掲示板に書き込み。
けっきょく肝心の嘘のほうは時間不足で「学生アリスの四作目」だなんてベタなものしか思いつけなかった。嘘をつくのも大変だなぁとしみじみ。いやいや、本当に騙された人はスミマセン。悪気はちょっとしかありませんでした。
さて、あなたが読んでいる正にこの部分は会社から帰ってから書いている。レポートを完成させるまでがMYSCONなのかもと少しだけ思った。