四人を二人ずつに

「……というわけで奇数組、偶数組にわかれるために、ジャンケンをしよう」
 右隣の男がそう云い、円卓を囲む男たちの顔を窺った。僕を含めて四人。この四人を、二人ずつのグループに分けたい。できるかぎり速やかに、かつ公平に。
「それじゃあさ」僕は慎重に考えながら、口を開いた。
「四人でジャンケンはよそうよ。あいこが続くと、時間がかかる」
 左隣の男が腕時計を確かめ、頷いた。
「その通りだ。二組に分かれてジャンケンし、勝った者と負けた者同士でペアになろう」
 向かいの男が顔をしかめた。「いや、二人でもあいこが続くことはあるだろう。ジャンケンではなく、コイントスはどうだ? くじ引きでもいい」
「待ってくれ」発言者が一周し、左隣の男が口を挟んだ。
「ジャンケンは、コイントスやクジ引きには無い利点がある。道具が不要だし、自分の意志で選んだものが決め手になるから、イカサマがしにくい。うん、いや確かに、あいこが続いたとき時間を損失するのは欠点だが」
「じゃあ、こんなのはどうかな?」僕はそっと右手を挙げた。
「変則的なジャンケンにしよう。二組に分かれて、一人は指を一本か三本、もう一人は二本か四本のどちらかをだすんだ。数の大きいほうが勝ち、ただし四本は一本に負ける。これなら、あいこはない」
 三人が顔を輝かせた。どうやら意見が一致したようだ。
「……というわけで奇数組、偶数組にわかれるために、ジャンケンをしよう」