ベストセラー

 読み終えたばかりらしいベストセラーの本を手にして友人が泣いていた。この作品を読まなければ人生の半分を損すると、世間で評判の感動作だ。
「そんなによかったの?」思わず声をかけた。
「いや」首をふる友人。
「俺の人生の半分が、こんなにつまらないのかと思うとね」