世界の根本原理

 肘を突き、片目だけで睨みつけるようにして禿頭の哲学者が問う。
「この世界のすべてを支配する根本的な原理を知れば、我々に不可能など無いとは思わないかね?」
 寝ぼけ眼のプログラマは、コーヒーカップを両手で包みこむように持った。
「コンピュータは0と1を操作しているだけだということを知ってる人は、大勢いますよ」
 香りを愉しんでから一口啜り、瞼を完全に閉じて続ける。
「それなのに、どういうわけか僕の仕事は終わりません」