小銭ミニマリストの憂鬱

 支払いをするとき、私はいつも財布から小銭をできるだけ減らそうとする。
 自販機で六十円のコーヒーを買おうとした。あいにく財布に十円玉がなかった。しかたなく百円玉を投入し、当然お釣りとして十円玉が四枚も返ってきた。
 残念な気持ちで財布へそれを入れようとした。ふと財布に、一円玉が四枚、五円玉が一枚あることに気づいた。「どんな支払いも大丈夫、無敵だ!」とうれしくなった。
 倒錯してるな、と遅れて気づいた。