いつ、犯人だと疑ったのか?

 大丈夫。私には、完璧なアリバイがあるのだから。
「いつ、私が犯人だと?」
「初めてお会いしたときです」
 佐伯刑事は、猛禽じみた瞳を細めた。
「そっか、私、自分の名字を言っちゃたものね」
 夫の浮気を疑っていた私は、間違い電話のふりをして自宅に電話した。受話器の向こう、見知らぬ女の声がした。
 あのとき、すでに私は未亡人になっていたのか。目の前に立つ、この女に夫を殺されて。

(ヒント1:この女=佐伯刑事)
(ヒント2:「いつ、私が犯人だと?」は佐伯刑事のセリフ)